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<漫画>「ペガサスは本当に飛ぶか」を検証…漫画家がゾワッとした広告の制作現場

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『左ききのエレン』とは違う境地をめざす

うえはらけいたさん

作者のうえはらけいたさん

──広告業界を舞台にした漫画の代表といえば、『左ききのエレン』(かっぴーによる大手広告代理店を舞台にした群像劇漫画)だと思うのですが、創作の上で意識されることはありますか?

うえはら:読んでいますよ、好きな漫画です。意識していることで言うと、物語として楽しんでほしい部分に、お役立ち系というか、実用的な内容も含ませようと。ただ、舞台が広告業界ということではなくて、どの業界の方が読んでも、胸に響くような作品に仕上げたいと思っています。

──確かにエピソードごとに、教訓や仕事の指針になるようなフレーズがたくさんありますよね。あと、ライターやコピーライターにとっては、そのまま活用したくなるような事例も多いですし。

うえはら:その話で言うと、作中に登場する「良いコピー事例」についても、すべて私が創作しているのですが、なかなか苦労しています(笑)。読者の方から、「なんで、あれが良いコピーなの?」って言われないために、コピーライターの看板はおろしたにもかかわらず、いまだにうんうん唸りながらコピーを考えていますから。

『ゾワワの神様』は終わりがない作品

ゾワワの神様

マンガ『ゾワワの神様』より

──だから、膝を打つようなコピーがたくさん登場するのですね。では、今後のお話を最後にお聞かせください。この『ゾワワの神様』は、終わりがない作品ですよね? 1話完結でずっと継続できるという意味で。

うえはら:そうですね。少年誌のストーリー漫画とは違い、明確な果たすべき目的があるワケではないですから。ただ、同じ展開だといつか飽きられるような気もします。あるとき、親切な友人がこの作品について「1ページを読んだら、なにを言うかわかってきた」って言われて(笑)。

──新たな展開が必要になりますね。

うえはら:なので、新しい情報を仕入れるために取材をするとか、まったく違う展開にするとか。これまでと違う展開も検討中です。主人公を成長させて、出世させるパターンもあるかもしれませんよ。

<取材・文/橋本未来 写真提供/うえはらけいた>

【うえはらけいた】
大手広告代理店でコピーライターとして5年間勤務。CMや企業ブランディングに関わる広告制作を経験後、退職し多摩美術大学に入学し漫画を描き始め、2020年に漫画家として独立。これまでに『コロナが明けたらしたいこと』(アスコム)をはじめ、『愛されない僕と、愛せる人々』など、胸にグッとくる作品を描き続けている。
Twitter:@ueharakeita
note:うえはらけいた

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