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上司や経営者の言葉はスルーすべき?“必須のスキル”で仕事もうまくいく

学び

「経営の神様」も経営者都合だった!?

社長

「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助さんでさえも、そうした経営者の都合から自由ではありません。経営に関わっていた当時、社会評論家の大宅壮一氏から、自社の社員を従順で個性のない「金太郎飴」と揶揄された際に、「金太郎飴でよいではないか!」と幹部に言い放ったと言われています。

 のちに副社長になる当時の幹部も「幸之助さんの本心は、社員を金太郎飴のように育てたかったんですなあ。個性的な社員がバラバラに動くのではなく、会社が決めた方向に向かって結束して働く社員を理想としていた」と回想しています。

 ほかにも自分の孫を社長にするべく画策し、自分を凌ごうとする社員は干す、私生活でも愛人を持つなど、神のように持ち上げられた姿と実際は異なります(『血族の王―松下幸之助とナショナルの世紀』岩瀬達哉著、新潮社)。

スルーが、実は必須の業務スキル

 松下幸之助さんでさえもこのようですから、それ以外の経営者は果たしてどうでしょうか? カリスマと持ち上げられて数年後に逮捕されるなんてこともめずらしくありません。

経営者や上司の言うことをそのまま受け取り、スルーせずに少々の無理でも実行する」ということは経営者の願望であって、社員はそのまま受け取ることはできません。会社自体も金太郎飴を理想としていると停滞を招いてしまうかもしれません。

 ビジネスの世界にもさまざまな神話がはびこっています。そんな神話(前提)から自由になると、スルーする技術は離れわざどころか、実は必須の業務スキルであることが見えてきます。自然と身につくようになるのです。

<TEXT/心理カウンセラー みきいちたろう>

心理カウンセラー、公認心理師。大阪生まれ。大阪大学文学部卒、大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。在学時よりカウンセリングに携わる。大学院修了後、大手電機メーカー、応用社会心理学研究所、大阪心理教育センターを経て、ブリーフセラピーカウンセリング・センター(B.C.C.)を設立。トラウマ、愛着障害などのケアを専門にカウンセリングを提供している

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心理カウンセラーが、「言葉にはたいした価値がない。だからそんな言葉はスルーしていい」というメッセージのもと、言葉についてさまざまな角度から考察し、他人の言葉をスルーする技術を伝授

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