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入浴介助で陰部を「触って」。給料安い、仕事はキツい…介護業界のセクハラ実態

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 介護業界と言えば「離職率が高い」「給料が安い」。それなのに大変というイメージを持たれている人は多いかもしれません。今では人生100年時代とも言われ、2021年に厚生労働省が公表したデータによると日本国内の100歳以上の高齢者は約8万人となり、51年連続で過去最多を更新する見通しのようです

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※画像はイメージです(以下同じ)

 今後、ますます介護の仕事は必要とされていくでしょう。そんな中、介護業界のハラスメントが問題視されています。今回はハラスメント研究家(@murasaki_kaname)の立場から介護業界ならではのハラスメント実態と介護業界で働く人に向けたアドバイスをお伝えします。

介護職員の7割超がハラスメント被害に

 2018年にUAゼンセン日本介護クラフトユニオンが介護職員等に行った「ご利用者・ご家族からのハラスメントに関するアンケート」によると「何らかのハラスメントを受けたことがある」と回答した人は74.2%でした。

 そのうちセクハラの内容として「サービス提供上、不必要に個人的な接触をはかる」(53.5%)、「性的冗談を繰り返したり、しつこく言う」(52.6%)、パワハラの内容として「攻撃的態度で大声を出す」(61.4%)、「●●さんはやってくれた等、他者を引き合いに出し強要する」(52.4%)という結果になりました。

 相談しても解決しないと思った理由として「介護職は我慢するのが当然という風潮や力量不足と考えられてしまう」が挙げられています。

利用者に睡眠薬を入れられる事件も

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 2021年に京都府で訪問介護に訪れた介護福祉士の女性が利用者の男から睡眠薬入りのお茶を飲まされる事件がありました。女性は意識不明の状態で男に約1時間監禁され、急性薬物中毒の傷害を負いました。女性は男の自宅を訪れた翌日も体調不良が続いたことから、京都府警下京署に相談して事件が発覚。女性の体内からは薬物反応が検出され、その後、男は監禁致傷容疑で逮捕されました。

 介護事業者側が利用者、その家族にサービスを提供するにあたり、介護職員へのハラスメントなど禁止事項を伝達する姿勢が弱いことや、女性の介護職員1人に男の訪問介護を任せざるを得ない体制も事件を引き起こしてしまう原因のひとつだと考えられます。

 岸田文雄政権の政策として、介護職員1人あたり月額9000円程度引き上げる経済対策が2021年に閣議決定され、いよいよ2022年2月からスタートします。対象は介護職場の他にも保育士、看護師なども含まれます。

 背景に人手不足、離職防止、賃金水準の低さを解消する目的があります。月額の手当がアップすることについて、介護職員として働く当事者からは「素直に嬉しい」という声もあれば「全然割に合わない」という声も筆者は実際に聞いています。「賃金がアップするだけマシ」という冷静な声もあり、実態に即した賃金アップの経済対策が望ましいことは言うまでもありませんが、金額には当然賛否があることでしょう。

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