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異例の受賞を果たした大学生作家が語る、SFの魅力「人の心を強くしてくれる」

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 人類がテレポート能力に目覚めた近未来の東京。事故でその能力を失い、絶望していた赤川勇虎(あかがわいさとら)が、世界に4人しかいない超長距離テレポート能力を持つ少女ナクサと出会う。少女の力を悪用しようとする謎の組織から彼女を守るため、決死の逃避行を始める――。

人間六度

著者の人間六度氏

 長編小説『スター・シェイカー』で、第9回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞した現役大学生・人間六度(にんげんろくど)氏に話を聞いた。

大学生がハヤカワSFコンテスト大賞受賞

「テレポートはSF系のアニメや漫画によく出てくる能力ですが、意外と侮られがちだなと思っていたんです。だって相手の体内に跳んだら、相手の体を破壊できちゃうわけじゃないですか。絶対勝ちじゃん、と(笑)。でも、そういう使い方をしている作品は見たことがない。攻撃手段として使えば最強なんだ、という小説を書きたかった」(人間氏)

 ディストピア世界のボーイ・ミーツ・ガールとして始まり、車移動にこだわる旧人類(!)とともに廃墟と化した高速道路を突き進むロードノベルへ。バトル多めでネタ密度バリ高、章が変わるごとに物語の雰囲気もガラッと変わる。

移動とは生命が持つ根源的な欲望

人間六度

『スター・シェイカー』早川書房/4年ぶりのハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。人類がテレポート能力に目覚めた近未来。緊迫のハイパーインフレ瞬間移動SF

 賞の選考では粗削りという評もあったが(単行本化にあたり大幅に加筆修正済み)、物語の終盤でフォーカスされる、宇宙像にまつわる構想の大胆不敵さは絶賛された

「テレポートというモチーフから移動というテーマを切り出してみたら、どんどん構想が膨らんでいきました。コロナ禍で移動の自由が制限されたことによって、そもそも移動はめちゃくちゃ無駄が多かったってことがわかったじゃないですか。

 一方で、小説の中で“移動を捨てた植物でさえ、環境を利用し移動を図る”というセリフを書いたように、移動とは生命が持つ根源的な欲望でもある。移動というテーマが懐の深い概念だったからこそ、テーマに縛られるというよりも、テーマから連想していったいろいろなアイデアを自由に書いていけたのかなと思います」

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スター・シェイカー

スター・シェイカー

4年ぶりのハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。人類がテレポート能力に目覚めた近未来。緊迫のハイパーインフレ瞬間移動SF

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