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ドン・キホーテ、経営多角化が裏目に。“32期連続の増収増益”も怪しい雲行き

ビジネス

 最近ではPB家電のコスパの高さにも注目が集まる「驚安の殿堂」こと、ドン・キホーテ。運営する「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)」は規模を拡大しており、2021/6期は32期連続の増収営業増益を記録しました。

外出自粛中の渋谷

画像はイメージです

 さらに「ドンキ」以外の事業も手がけ、経営の多角化を目指しているようですが、今期の雲行きは怪しいようです。本記事ではその理由を推理していきます。

2000年代に大きく躍進

 現在はPPIHという社名ですが、同社は1980年に株式会社ジャストとして設立されました。小さな雑貨屋経営で蓄えた資金を元に1989年に「ドン・キホーテ」の1号店(府中店)がオープンします。食品からバッグなど幅広い品物を扱うディスカウントショップは人気を集め、1995年には社名を「ドン・キホーテ」に変更、1998年には東証2部に上場しました。

 そして2000年には1部上場に鞍替えします。早々に上場した同社ですが、店舗数を伸ばしたのは2000年代に入ってからです。1998年に10店舗だったグループ全体の店舗数は2008年に200店舗、2015年には300店舗を突破し、2019/6期末には693店舗になりました。特にドン・キホーテ特有の「圧縮陳列」は消費者を迷路の中に迷い込ませ、宝探しのような楽しさを感じさせてくれます。

長崎屋やユニーも傘下に

ドン・キホーテ

ドン・キホーテ新宿歌舞伎町店

 経営の多角化にも積極的で、2007年にはスーパーの長崎屋を買収したほか、2019年にはユニーを子会社化しました。小売の他にも、不動産事業を手掛ける「日本アセットマーケティング(マザーズ上場)」やクレジットカード事業の「UCS」も傘下においています。2019年に社名をドン・キホーテHDから現在のPPIHに変更しましたが、多角経営をアピールしたい思惑があるとみられます。

 参考までに2021/6期におけるセグメント別売上高は以下の通りです。

【セグメント別売上高】
ディスカウントストア事業(ドン・キホーテ):1兆1835億円
総合スーパー事業(アピタ・ピアゴ):4500億円
テナント賃貸事業:609億円
その他事業:142億円
合計:1兆7086億円

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