死屍累々のスマホ市場に、意外な挑戦者。ライカから19万円の高級品も
60代以上のマニア向け!?
そもそも「ライカのカメラ」自体が、「たくさん作って安く売る」ような商品ではない。Appleは1年間に2億台以上のiPhoneを作っているが、その1/1000の生産量でも、高級カメラとしてはヒット商品になる。したがってLEITZ PHONE 1も採算ラインに乗るという目論見だろう。
日本のカメラマニアにとって「ライカ」の持つブランド力は絶大である。『ちびまる子ちゃん』に出てくるカメラフリーク「たまちゃんのお父さん」の愛機もライカだった。とりわけ日本では60代以上の層にファンが多く、資金に余裕のある「逃げ切り世代」を狙った商品だと見ていいだろう。
ドイツは伝統的な工業先進国だが、現在もスマートフォンを製造しているメーカーはミュンヘンのGigaset社のみである。シーメンスの携帯電話事業撤退以降、世界的なブランドは存在していない。
LEITZ PHONE 1も実質的にはシャープの製品なので、「ライカのスマホ」をイチから作ろうというほどの関心はなさそうだ。要するに、ブランド商売である(もちろんモノも良いのであろうが)。
バルミューダもスマホに参入
デザイン性の高い掃除機や空気清浄機で知られる日本の家電メーカーが「バルミューダ」である。横文字のブランド名を称し、製品のデザインも「白物家電」とは一線を画しているために、日系メーカーだと知らない人も多いのではないだろうか。創業は2003年であり、業界では新興企業に数えられる。
このバルミューダも、秋モデルでスマホに参入すると伝えられた。キャリアとしてはソフトバンク、製造元としては京セラとの提携がすでに発表されている。ガラケー時代から“通好み”する端末を開発することでも知られる京セラだけに、どんな製品が出てくるのか楽しみになる。
とはいえ、中華スマホに太刀打ちできるような高いコストパフォーマンスを実現できるかは未知数だ。バルミューダの売れ筋はあくまでインテリアであり、PCやスマホのようなデスクトップガジェットにはこれまで注力してこなかった。
発売後数年で時代遅れになるスマートフォンは、デザインや堅牢さの一辺倒で通用する領域ではない。2〜3年後の買い替え時に「また同じブランドを選ぼう」と思わせるためには、あくまでも部品の性能が肝要になる。
スマホ製造から撤退していった日系メーカーは数多いが、スマホの普及期には名だたる大企業が次々と“失敗作”を量産し、ユーザー離れが進んでいった。日本における“iPhone一強”は、その惨憺(さんたん)たる結果でもある。
数少ない生存者である京セラには、バルミューダの挑戦を力強く支えるよう望みたい。