叩かれても“路上飲み”する若者たちの言い分 「静かな外飲みもある」
路上飲みの一種で、コロナ以前から営まれてきた「ワンカン」が危機に瀕している。ワンカンとは、仕事やバイト終わりにコンビニで買ったお手頃な酒を、路上や公園でサクッと飲んでから帰ることで、2000年代にアパレル販売員らが使い始めた言葉らしい。
まん防移行後も酒類提供店への締め付けが続くなか、感染拡大の元凶と批判されても「ワンカン」飲みを続ける彼らの主張に耳を傾けた。
規制の標的「若者のワンカン飲み」とは?
「え? 今、渋谷? わたし原宿なんだけど宮下公園でちょっとワンカンしない?」
6月11日の金曜日、日中は30度を超えた気温も20時を回り、ようやく過ごしやすくなった渋谷のMIYASHITA PARKを訪れると、15組ほどの若者たちが、ビールやチューハイの缶を手に語り合っていた。3人、4人というグループもいたが、大半は横並びに座って静かに飲んでいる2人組。
広告関係の仕事をしているという会社員の凜さん(仮名・30歳)とふみさん(仮名・29歳)もそのうちの一組だ。
ふみさんは「渋谷ドンキの酒階レジ50億人並んでる」という凜さんのツイートを見て冒頭のLINEを送り、中間地点のMIYASHITA PARKで合流したのだという。コンビニに売っていない「本搾り」のチューハイを買いにドン・キホーテへ行ったという凜さん。
「レジの列は50億人じゃなくて50人ぐらい。みんなカゴに缶のお酒を入れてたから、ワンカンの買い出しだと思います」
「若者の外飲みが元凶」と言われても
緊急事態宣言下では、飲食店での酒類提供が禁止されたため、開き直って路上飲みをする居酒屋難民が大量に発生。ニュースやワイドショーでは、そんな“荒れた若者”の映像が連日映し出された。傍目にはワンカンも変わらないだろう。
だが、職場の近くで周囲に気遣って短時間で切り上げるワンカンは、コロナ以前からささやかに営まれてきた外飲みカルチャーのようだ。とはいえ、以前からごみが放置されるなど問題視されることも多かった。2人は露店で買った台湾唐揚げをつまみに、他愛もないことを話題に穏やかな時間を過ごしている。
21時頃ふみさんたちと別れて、多くのアパレルショップが集まる原宿のキャットストリートへ。「ワンカンの聖地」とも呼ばれる場所だが、金曜の夜だというのに、人影はまばらだ。