待機するだけで通報される“外国人UberEats配達員”の嘆き「不法滞在者なんかいない」
日本人の顧客からセクハラ被害
同じく池袋にいた、ベトナム北部出身の元留学生(25歳)は言う。
「ここ(池袋西口店)の店長は優しいんだけど、いつも怒ってくる店員さんがいる。注文の受け取りに並んでいるだけなのに、『お客さんの邪魔になる!』と怒鳴ってきたり。ほかのマックでも、怖い店員さんがいて『臭いからシャワー浴びてきて』と言われたこともある」
一方、新宿駅西口にいたホーチミン近郊出身の23歳の現役留学生の女性は、日本人の顧客からたびたび受けるという、セクハラ被害について告白する。
「大半の日本人は礼儀正しいし優しい。でも、酔っ払いが嫌い。最近は、緊急事態宣言で飲食店がやっていないので家で宴会しながら注文する人が多い。そういうところに配達すると、酔っぱらったおじさんから性的な言葉を投げかけられることもあります。一度、日本人の中年男性から体を触られたこともありますが、警察を呼ぶと仕事が中断しちゃうので泣き寝入りしました」
同じ配達員から、攻撃されることもあるようだ。ハノイ近郊出身という25歳の元留学生が話す。
「ウーバーイーツのカバンを持った日本人の配達員に路上で声をかけられたのですが、うまく聞き取れなかった。すると、『日本語わからないヤツは働くなよ、母国に帰れ!』と怒号が飛んできた」
ほとんど寝ずに働いて月50万円稼ぐ者も
今回、話を聞いた外国人配達員が受けた嫌がらせの多くは、「外国人配達員=不法就労」という偏見から生じているものが多い。しかし実態は違うようだ。『ルポ技能実習生』などの著書があるジャーナリストの澤田晃宏氏はこう話す。
「ウーバーイーツでは、不法残留者による不正な配達員登録が相次いだため、昨年末からは登録が対面式となり、現在では不法就労の外国人配達員は登録できません」
現時点で外国人配達員の大半は、合法的に働いていると考えていいようだ。一方で、「昨年までは他人名義のアカウントを就労資格のない外国人に販売したり、貸与して働かせている事例もあった」(澤田氏)と言う。
今回、他人のアカウントで配達員をしていたという、ベトナム東北部出身の元技能実習生の男性(37歳)に取材することができた。
「2019年にとび職の実習生として来日したのですが、実習先での給与の天引きや社長による暴力に耐えかねて逃げました。ただ、送り出し機関に支払った紹介手数料100万円の借金があった。そこで、選んだ仕事がウーバーイーツ配達員です。フェイスブック上の在日ベトナム人の裏コミュニティで知り合った同胞から3万円でアカウントを購入し、在留期間が切れるまでの半年間、毎日約6時間働いた。月収は20万円で借金は完済できました。寝ずに働いて月50万円稼いだ友人もいます」
男性は支援団体を頼って在留資格を変更し、現在は都内の建設会社で働いているという。