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「同期のブラマヨ、チュートには到底及ばなかった」元吉本芸人の放送作家が持つ“バランス感覚”

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若手にはすぐ“傷口”を見せる

三人

『三人』(桝本壮志、文藝春秋)

――年齢でキャリアで押さえつけてくる風潮って、日本ではまだまだありますよね。

桝本:僕が芸人だったときは、とくにそうです。半日、先に入っただけでも先輩、後輩の関係ができあがる。それに異常に縛られていますし、“年齢が上=能力が上”だと思っているフシがある。それがいかに無駄なことか。

 いま、NSCの講師をやっていて思うのが、若い子たちは“上から目線”で話しても全然聞いてくれません。対等な目線で「キミらぐらいの年齢のときに、こんなヤバいことがあって芸人をやめて……」と、すぐに傷口を見せるようにしています。手前味噌ですが、講師を10年続けてきていますけど、ずっと生徒間の人気投票で1位なんです。理由を聞くと「ネタ以外での心構えなど、不安に思っていることを払拭してくれる」と。

 そもそも僕なんてずっと人気芸人の陰で泥水すすってきましたし、叩けばホコリなんていっぱい出る人間。だからこそ、これから羽ばたいていく若い人たちの添え木になれると思うんです。芸人は諦めたけど、「ここにいたい」と思う理由のひとつですね。

<取材・文/東田俊介>

【桝本壮志】
1975年広島県生まれ。放送作家、コラムニスト、小説家。吉本総合芸能学院(NSC)大阪校13期生で、同期芸人にブラックマヨネーズ、チュートリアル(徳井義実)、野生爆弾など。芸人を引退後、吉本興業が運営する渋谷公園通り劇場の作家となり、のち放送作家デビュー。『ぐるぐるナインティナイン』『今夜くらべてみました』『ナニコレ珍百景』などを手掛ける2020年12月17日、初の本格小説『三人』を上梓
Twitter:@SOUSHIHIROSHO

大学を卒業後、土方、地図会社、大手ベンチャー、外資など振り幅広く経験。超得意分野はエンタメ
Twitter:@shunbini

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芸人二人と放送作家のシェアハウス。そのリアルな生態を浮かび上がらせながら、青年の痛切な日々を描く、青春小説の新たなる傑作!

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