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コロナと“中国の脅威 ”に世界が揺れた2020年。来年もリスクは続く

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各地で罪のない中国人が被害に

コロナイメージ

 新型コロナウイルスが中国・武漢を発祥とされることから、中国(人)を狙った暴力や嫌がらせが各国で見られた2020年

 例えば、1月29日、韓国のソウルでは、すれ違いざまに肩がぶつかったことで口論になり、中国人4人のグループは韓国人3人のグループから「ウイルスはマスクをつけろ」「肺炎を移すな、中国に帰れ」と暴言を吐かれ、両者の間での激しい衝突を招いたと韓国の「ヘラルド経済」が報じている。

 香港では、香港の高度な医療を求めて中国人が大量にやってくるという警戒感が起こり、「中国・深センとの境界を封鎖するべき」と求める香港人の声もあった。

 一方、新型コロナウイルスの最大被害国とあった米国や欧州ではさらに事態が深刻となった。アメリカNBCニュースの報道では、2月にニューヨークにあるチャイナタウンで、マスクを着用した中国系女性が突然「近寄るな、病人」といった罵声を浴びせられ、男から殴る蹴るの暴行を受けた。またロサンゼルスでもアジア系の男子中学生が同級生に暴行され、病院へ緊急搬送される事件が発生した。

 フランスの日刊紙ル・パリジャンによると、フランスでは、2020年の2月にパリ郊外のブローニュビヤンクール市で、中国人が経営する日本食レストランに「コロナウイルス出ていけ、ウイルス」と書かれた差別的な落書きが発見された。同経営者は「恨みを買うようなことをしたことは身に覚えがない」と言うが、その後、レストランは休業に追いやられたそうだ。

2021年はどうなるのか

 これらの事例を欧米諸国に在住する日本人にとっても大きな危険を伴う。欧米人からすれば、日本人と韓国人、中国人をきちんと区別できる人は少なく、日本人が狙われてしまい被害者になるというケースも十分ありえる

 以上のように、新型コロナウイルスの感染拡大は医学的な被害だけでなく、安全保障面や治安面にも大きな悪影響を与えている。しかも、これは現在進行形のリスクであり、来年もこのような情勢が基本的には続くことになろう。

 中国の海洋覇権や影響力拡大を防ぐ“対中包囲網”がさらに顕著に現れはじめれば、単なる米中対立の枠を超え、アジア地域ではさらに緊張が高まる可能性がある。

<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>

国際政治学者。首都圏の私立大学で教鞭をとる。小さい頃に米国やフランスに留学し、世界の社会情勢に関心を持つ。特に金融市場や株価の動きに注目し、さまざまな仕事を行う。100歳まで生きることが目標

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