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池田エライザ、苦しんだ世間とのズレ「初監督は正々堂々。自分のやりたいことを」

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自分に還元できる1800円に

池田エライザ

――今は説明過多も作品が多いですが、池田さんのそうした姿勢は、逆に考えると、普段からいろんな音楽や本などいろんなエンタメに触れることが多いからでしょうか。

池田:結局、面白かったか、つまらなかったかというのは、自分自身に、面白いものとして捉える余裕があるかないかじゃないかと思うところはあります。それに、いろんなエンターテインメントがありますが、たとえば映画なら、1800円というお金と、時間をいただくわけで。

 だったら、観終わったあとに、自分について考えられる時間を設けてほしい。そういう作品にしたかったんです。操作したくないとは言いましたが、自分に払う、自分に還元できる1800円にしてほしいし、なってほしいという気持ちはあります。

自分のアート欲は自制した

――実際に監督を務めるにあたって、影響を受けたと感じた方はいらっしゃいますか?

池田:いろんな方に影響を受けましたし、いろんな名監督と言われる方を尊敬しているからこそ、真似してしまわないように、全部捨てなきゃいけない作業が大変でした。あの監督がやっていたあれを私もやりたいとか、例えば、「レオス・カラックスみたいに男の子を走らせたい!」とか(笑)。

 そうした思いもありますが、でもこの映画は、もちろんいろんな人に観て欲しいけれど、でもあくまでも田川市の方々が観て幸せな気持ちになったり、誇らしい気持ちになれたりする作品じゃないといけない。だから、自分のアート欲を満たすために、いろんな監督の真似事をしちゃいけないと自制しました。でも、いろんな監督に応援はしていただきました。

――例えば?

池田:大根仁監督(『SUNNY 強い気持ち・強い愛』)は、編集のときにプレイリストを作っておくといいよとアドバイスをくれましたし、廣木隆一監督(『伊藤くん A to E』)も話を聞いてくださったし、片桐健滋監督(『ルームロンダリング』)や英勉監督(『賭ケグルイ』)も「頑張ってね」と、エールをくださいました。大変な仕事だと知っていらっしゃるからこそ、みなさん、気にかけてくださいました。

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