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アジア初の快挙も。米アカデミー作品賞、大混戦を予想する

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』 ☆★★★★

 女性作家によるアメリカを代表する文学作品「若草物語」を現代的に解釈。女性の自立した生き方に焦点があてられる。

 以前から白人男性ばかりでアカデミー会員が構成されていることが批判を浴び、『ハリー・ポッター』原作者J・K・ローリングや、新海誠監督や細田守監督など女性や国外の会員を急激に増やしているアカデミー賞。

 女優でもある新進の女性監督グレタ・ガーウィグが女性の権利を描く本作を作品賞に選ぶことで、多様性を尊重する催しであることをアピールできるチャンスとなっている。

 ネックとなるのは、アジア系の映画である『パラサイト 半地下の家族』もまた、多様性のアピールになり得る作品であり、そこで票が割れてしまう可能性があること。

 本作が作品賞を得るような大きなうねりを生み出すには、“MeToo運動”などの社会的な旗印となることが必要だと思われる。そして、仮にそうなった場合も、いまだに男性偏重の構図のなかでの勝利は難しいかもしれない。

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 様々な角度から、作品ごとの可能性を見てきたが、蓋を開けてみれば、意外な結末を迎えることが多いのもアカデミー賞の面白さだ。しかも、そのときそのときの空気によって、数年後には誰も話題にしないようなビミョーな作品を選んでしまう、ハズレの年も珍しくない。

 業界人の本気がぶつかるアカデミー賞作品賞には、後世に残るような素晴らしい作品も集まる。今回はそんな作品が、ノミネートされたなかに、いくつも存在しているのは確かなことだ。しかもそれらが対決するという展開は、近年まれにみる刺激的な状況だといえる。

 賞レースは賞レースで楽しむとして、結果はあくまでも参考に、候補作品のなかから最高の一作を自分で見つけ出すのも、アカデミー賞の楽しみ方である。発表は2020年2月9日(日本時間10日昼頃)の予定だ。

<TEXT/小野寺系>

映画の奥深さを分かりやすく伝える映画評論家。「bizSPA!フレッシュ」「Real Sound」、「キネマ旬報」、「CINRA」、「Meets Regional 」、「CINEMORE」などで映画評を執筆

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