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スターバックスが「無料Wi-Fi」を始めた理由。元CEOが語る経営論

ビジネス

スターバックスで始めた2つの施策

――スターバックス・ジャパンCEOとして就任したときもまた、業績が厳しくなりつつある状態だったとか。

岩田:私が社長になる1年ほど前、2008年2月から既存店の売上高が前年同月比を恒常的に下回るようになっていました。当時はリーマンショックの影響もあり、いわゆる高額商品が一斉に売れなくなった時期にあたります。

 とはいえ、スターバックスはもともと素晴らしい会社です。お店のパートナーさんのレベルもとても高い。財務状況も申し分ない。私は、皆の意識が少し目の前の売り上げや利益に行っていたのを、スターバックスのミッションを再確認し、原点に立ち戻ることが必要だと訴えました。

“神対応”に感動した「ワンモアコーヒー」

スターバックス

――ミッションに基づく施策で印象に残っているものを教えてください。

岩田:同日内であれば、全国どこの店舗でも2杯目のドリップコーヒーを100円で「おかわり」していただけるという、「ワンモアコーヒー」というキャンペーンです。これは見方によっては値引きです。

 そう見せないために、心が弾むようなデザインのチケットを配れば良いと私は考えましたが、即効性を優先し、「レシート」にキャンペーンの詳しい内容を印字し、2杯目を買う際はそれを提示してもらうことにしました。

 すると、各店舗のパートナーたちはワンモアコーヒーされるお客様のレシートに書かれた発行した店舗名と発行時刻に注目し、お客様に一声をかけてくれたのです。

 朝、仙台の店舗で1杯目を飲んだお客様が、夕方に東京都内のスターバックスで「ワンモアコーヒー」を注文するお客様がいたら、「仙台からいらっしゃったんですか」「ご出張ですか? お疲れさまです」と声をかけるといった具合です。朝と2度目の来店だったら「お帰りなさい!」などお声を掛けてくれたのです。こうしたお店での“神対応”には私自身が感動しました。

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