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ダルい仕事でも「やる気」をキープする、小さなテクニック

学び

小さな達成感でも「やりがい」は生まれる

「小さな達成」の内容は、仕事にさえ関係していればどのようなものでも構いません。企画書の作成に必要なデータが見つかった、いままで悩まされてきたバグが解消された、マネージャーから褒められた……。

 どんなに小さな達成でもあなたのモチベーションは高まり、そこには“やりがい”の感覚が生まれます。

 より身近な例として、コロンビア大学の実験を見てみましょう。被験者たちは「特定のカフェで使えるスタンプカード」を渡され、次の2つのパターンで自由にコーヒーを買うように指示されました。

①「コーヒーを10杯買えば無料で1杯をサービス」と書かれたスタンプカードを渡す。
②「コーヒーを12杯買えば無料で1杯をサービス」と書かれたスタンプカードを渡す。ただし、そのカードにはすでに2つのスタンプが押してある

 要するに、どちらのパターンでもコーヒーを10杯買わないと無料のサービスを受けられない点は同じであり、普通に考えればすべての被験者が同じようにカフェに通うはずですが、結果は大きく異なりました。

「達成感」は錯覚でも構わない?

虫眼鏡 ビジネス

 現実には「コーヒーを12杯で1杯サービス」のカードを渡されたグループのほうが、スタンプの貯まるスピードが速かったのです。

 研究チームは、この現象を「前進の錯覚」と呼んでいます。「すでに2つのスタンプが押してあった」おかげで達成感の錯覚が生まれ、その感覚がモチベーションを高めたわけです。ただの錯覚でもやる気がわくのだから、私たちの「達成感」好きは筋金入りでしょう。

 もっとも、適職探しの場面において「その会社には『小さな達成感』を得られる環境が整っているか?」を調べるのは難しいものがあります。現代で「小さな達成感」を意識している企業は少数派で、現場マネージャーの裁量に頼りっきりなケースが多いからです。

 先のハーバード研究によれば、およそ95%のマネージャーが「従業員のやる気を高めるには給与を与えて褒めるのがベストだ」と答えたとのこと。世の中に「小さな達成感」の重要性が知れわたるまでには、まだ時間が必要です。

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