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ヤフーを飛び出し、フリーランスに。「世界一即戦力な男」の働き方

ビジネス

副業での人脈は「会社に還元できる」

――メリットとして、会社に還元できることがあげられることも多いですが。

菊池:副業のつながりで仕事をすることもあったので、それはメリットとしてあると思います。人脈は還元できると思いましたし、やりたいことを仕事にできたのも人脈のおかげだと思います。「もしそば」共著者の神田さんとはライターの飲み会で出会いましたし、あとはなるべく同業以外の人と接点を持つようにしていました。

――外の人たちとの出会いで得られるものって何でしたか?

菊池:うーん、業界の人以外と会っているとチームが組めるんですよ。ライター同士だとそんなにできないじゃないですか。それと、外の人にとっては文章を書ける存在は自分しかいないので、オンリーワンの存在になれるんですよね。

 自尊心も満たされます。得られたものの具体例をあげると、やっぱりテレビ番組を作ったときにプロデューサーと接点を持っていたことですよね。個人的にメッセージしたところからはじまりましたから。

最近もたまに求人を調べている

菊池良

菊池良『芥川賞ぜんぶ読む』(宝島社)

――新刊『芥川賞ぜんぶ読む』の元はウェブ連載ですが、連載自体はいつか終りがきて、一生を保証してくれるものではないですよね。自分だったら辞めることを躊躇してしまったと思います。

菊池:期間限定だからこそ、会社を辞められたのはあると思います。本が仕上がって、その時点で仕事がなければ、会社員に戻ろうと思っていましたし。意識としては完全に文筆業で食べていくというよりも、まだ半分くらいは会社員マインドが残っているんですよ。最近もたまに求人を調べてはいますよ。「TikTok」の会社、求人出してないかなって。文章だけというこだわりもなくて、会社員生活ではいろいろやらせてもらったなかでは、「文章(と企画)が一番得意だった」という感じです。

――文章がスキルとして活かせると思ったのはいつごろでしょう。

菊池:「もしそば」の原型となる「もしも村上春樹がカップ焼きそばの作り方を書いたら」のツイートがバズったときです。文章でもいけるのかなと。本がヒットしたのは文章というよりは、企画が良かったから売れたと思っています。

 ただ強調しておきたいのが、今でも島耕作になれなかった悲しみがあるということ……(笑)。文章スキルでいうと、影響を受けたのが堀井憲一郎さんの『いますぐ書け、の文章法』。なかでも「立ちながら書け」は、かなり使えるメソッドです。書きたいことがあったら、座って考える前に、立ったままでいいからとにかく書けという。

――今後のビジョンは現時点である程度固まっていますか?

菊池:仕事がきているうちはフリーランスで働こうと思っています。すでにいくつか進んでいるものがあって、それがポシャったら会社員に戻るかも。会社と平行してはできないようなものが多いので、今までみたいに副業としてやるというのは、あまり現実的じゃないんですよね。

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