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5億円を資金調達した26歳ITベンチャー社長が大切にする「想いの伝え方」

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眼の前にいる人から学べなくなったら危険

――実現の手立てがないのに大きなこと語るのは「恥ずかしい」という気持ちはあるように思います。

清水:それはありますね。でもその手立てがあるならとっくに実現しとるわ! という。つまり、頭の中で固まってから話そうとすると、いつまでたっても固まらないのではないでしょうか。

「自分なんて、そんなに賢いわけがないんだから」という前提で、まずは恥ずかしくても発信してみる。すると他者がどんどんフィードバックをくれますから。

 他者というのは誰しもが自分と異なる人生を歩んできています。年下であっても、生きている時代が違えば、価値観も変わってくる。その経験や知識はそんなに浅くないと思うんです。そういう人たちからのフィードバックを、自分の頭の中だけで再現するのはほぼ不可能でしょう。

 ときには「この計画、全然ダメじゃん」なんて言われたりもしますが、そこで喜んで考え抜く。その過程も重要な糧になると思いますね。

 逆に、目の前にいる人を、年下だからとか、ヒラだからとかで見くびって、学べることがないと思うようになったら危険視号だと思っています。

起業を目指す20代へのアドバイスとは?

清水社長2

――起業にあたって、準備しておくべきことはなんでしょうか?

清水:それは他の方からもよく聞かれます。準備として、どんな知識をつけるべきか? どんなスキルを磨いておくべきか? どんな人脈を作っておくべきか?

 それは全部、走りながら身につけるのがちょうど良いと思います。大事なことは、なぜ自分がそれをしたいのか? という核なんです。

 起業したらカオスな日々が始まるので、事前に準備した知識とかスキルとかぶっちゃけ大して役に立たんと思います。

 そんな中で唯一、自分や仲間を守り、指針として自分たちを導いてくれるのが「なぜ自分がやりたいのか」という想い、つまりビジョンですね。

 だから、準備とかそんなに真面目にしなくていいと思うので「やりたい理由=意志」だけ定め切ること。そしたらサクッと起業して「カオスの中で」真剣に自分を磨いていけばいいと思いますよ。

――起業仲間も重要だと思いますが、それはどうやったら見つかりますか?

清水:在学中だろうと卒業後だろうと、やっぱり自分の近くにいる人だと思いますよ。出会いが異業種交流でもビジネスマッチングアプリでも何でもかまいません。相手が信頼できる人ならいいんじゃないですかね。

 以前、株式会社アトラエのCEO・新居佳英さんから言われて印象に残っているのが、「創業の仲間というのは、夜な夜な議論し、青臭いことをお互いに気にせず語り合えるような相手」だと。まさにそのとおりで、知識や経験はさて置き、単純に気が合うとか、時間を忘れて語り合えるような、そんなことのほうが大事だと思います。

 なぜなら、最初に話したように創業初期は苦しいですから。そこで共に前を向いていけるのは、知識やスキルではなく、思いの一致度だと思います。

――仲間同士、ときにはぶつかることはあるのでしょうか?

清水:もちろん、そんな仲間でも衝突することはありますよ。ですが、衝突してもウチの場合は、あくまでビジネスの方向性や、事業の具体的な内容についてでしたね。後から入ってきたメンバーにも言われるのですが、「あいつ気に食わねえ」みたいな、しょーもない諍いがないんです。

 仮に誰かに問題があったとしても、「あいつ仕事できねーな」と文句を言うのではなく、「あいつ、もっとこうしたほうがいいんじゃね?」みたいに、前へ進むような発想になります。

 これはスタートアップの良さのひとつだと思います。スタートアップに飛び込んでくるメンバーというのは、仕事を仕方なくやっているのではありません。会社の未来を、自分自身が創っていきたいと思っている。ビジョンを共有できている当事者です。

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