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17歳で3000万円の借金を背負った「ミスiD」起業家アイドルの生き方

ビジネス

 まったく新しいタイプの女の子を発掘し、育てる――。そんなオーディション「ミスiD」で、起業家の安藤美冬に見出された栄藤仁美は、まさに“新しいタイプ”の女性だ。

栄藤仁美

「ミスiD2017 安藤美冬賞」を受賞した、栄藤仁美

 京都の花街で、7代続く老舗のお茶屋の跡継ぎとして生まれた。16歳で舞妓になろうと高校進学を断念するも、いじめにあってクビになり、就職。17歳で3000万円の借金を背負い、飲食業で起業してからは快進撃が続く。

 レコード会社、バーの経営に加えて、ミスキャンパスイベント「Miss of Miss」の立ち上げに参画しながら、借金を5年で完済したのちに上京。現在は、飲食業を経営する傍らに、有名イベント「東京ガールズコレクション」や、日本初のゲーム音楽プロオーケストラ「JAGMO」のプロデュースを手がけていた。

 28歳にして、ビジネスで辣腕を振るう彼女に、生い立ちから仕事術まで、話を聞いた。

――バリバリのデキるビジネスウーマンなのに、なぜアイドル発掘オーディション「ミス iD」を受けたのですか?

栄藤仁美(以下、栄藤):ひとつは、小さい頃から「ブスだ」って言われて育ったので、コンプレックスを克服したいと思ったんですよ(笑)。ずっと写真を撮られるのがキライで、ほとんど写真が残ってなくて。

 もうひとつは、京都の花街をもっと色んな人に知ってもらうために、発言力をつけたいと思ったからです。

――花街とは、祇園や先斗町といった、舞妓さんのいるお茶屋があるエリアですね。歌舞伎役者や政財界の要人が遊ぶ場所、というイメージがあります。

栄藤:たしかに、そういった方々は多いですね。私が小さい頃からよくしてもらっている役者さんたちも、今は主役級で活躍されています。でも、最近は外国人のお客様も多くて、実は敷居はそこまで高くないんです。

 ただ、京都独特の閉じた文化でもあって、なかなか知ってもらう機会がないのが問題。いまだに「うちの娘をいくらで買ってくれますか?」って言われることが年に数回あるんですよ(笑)。舞妓になるには、身売りさせられるんじゃないか? みたいな誤解もたくさんあって。

 舞妓さんや京都の花街って、歌舞伎における、テレビでも活躍するイケメン役者のような、スポークスマンになれるような有名人がいないんですよね。花街にいらっしゃるお客様や、舞妓になりたいと思う方が増えるように、情報発信ができたらいいな、と思っています。

――栄藤さんは、その花街で老舗お茶屋の跡取りとして生まれたんですよね。

栄藤:京都の先斗町にある、7代続くお茶屋「栄藤」です。小さい頃から、歌舞伎役者の子どもがまた歌舞伎役者になるように、私自身も舞妓になって、お茶屋を継ぐんだと思っていたんです。

 小・中学校のときは、お稽古をしながら10種類くらい習い事をして、あんまり友だちと遊ぶこともできなかったくらいで。市川海老蔵さんの娘さんのように歌舞伎に出たり、京都の三大祭に出ることもあったので、周りからはちょっと変わった子だと思われていたかもしれません。

――ある意味では、非常に目立つ存在でもあったんでしょうか。

栄藤:悪目立ちしてたんですかね。やっぱり、跡取りということで、京都のなかでは私の顔と名前を知っている人が多かったんですよ。それがズルいと思ったのか、私に対して「あの子が出るんだったら、みんな辞めます」ってストライキが起きちゃって。

 母も、舞妓がゼロになるのはまずいと思ったらしく「諦めて」って言われたんです。もう、高校への進学も考えてなかったので、目の前が真っ暗になっちゃって…。一時期は、誰も信じられなかったくらい。

 私の仲良い子には、伝統芸能業界の人が多い。自分のやりたいことを貫きながら、計画的に大学に行ったり、生まれたときから人生観がブレてないのが、すごいうらやましいと思うこともありました。

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