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男ならカンパニー松尾の破天荒な生き様に憧れを抱け! 大森靖子×岩淵弘樹<劇場版アイドルキャノンボール2017対談>

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「アイドルをAV監督が撮影したら、果たしてハメ撮りまで辿りつけるのか?」

 そんな壮大なテーマでカルト的な人気を博した『劇場版BiSキャノンボール2014』から3年の時を経て、ついに続編となる『劇場版アイドルキャノンボール2017』(監督/カンパニー松尾 渋谷HUMAXシネマ)が公開中だ。

大森靖子(左)と、岩淵弘樹(右)

大森靖子(左)と、岩淵弘樹(右)

 カンパニー松尾という宇宙の中で甦った映像作家・岩淵弘樹氏。彼はいかにして『劇場版アイドルキャノンボール2017』を戦い抜いたのか? 前回に引き続き、歌手である盟友・大森靖子氏との対談の後編をお届けする。

「アイドルキャノンボール」は世代間闘争の物語

大森靖子(以下、大森):前作の『劇場版BiSキャノンボール2014』は「アイドル VS AV監督」というコンセプトが話題になったよね。もちろん今作もそうなんだけど、そこに岩淵君とエリザベス宮地君という二人の若手映像作家が加わったことで、「AV監督 VS 映像作家」というもうひとつのテーマが生まれたと思う。

岩淵弘樹(以下、岩淵):例えば『テレクラキャノンボール』を観たら、男としてはAV監督の破天荒な生き様にある種の憧れを抱くわけじゃない。もともと自分は、高校生のときに松尾さんがカメラマンとして参加した映画『ラブ&ポップ』の予告編を観て、「こういう映像を作りたい」って衝撃を受けて、この世界に入ったからなおさらだよね。

大森:それで『サマーセール』も撮ったからね。

大森靖子(左)と、岩淵弘樹(右)

岩淵弘樹「AV監督と俺らとでは覚悟の量が違いすぎる」

岩淵:だから、まずは憧れの存在に食らいついていく若手という構図がある。もうひとつ、パッケージとして作品を作ってきた松尾さん世代とYouTubeなんかでライブ配信を始めた自分たちの世代という世代間闘争という側面もある。じゃあ、そうした枠組みの中で自分がどう立ち回るかって話になるんだけど。

 今回ばかりは逆立ちしても勝ち目のない戦いなわけでさ。憧れることは誰にでもできるけど、やっぱりAV監督と俺らとでは覚悟の量が違いすぎる。そう痛感したときに、自分の中のストーリーとしては「どうもがくか?」しかなくて、最終的に「なりたいけど、なれない」というところまで撮れたから良かったとは思う。

あの人の「ハメ撮りに至るまでのフローチャート」

大森:それって、ひと言でいえば「青春」だよね。謎の主人公感あったもん(笑)。

岩淵:いや、マジで覚悟の量もそうだけど、テクニック的にもあの人たちはスゴいんだって。バク山さん(バクシーシ山下監督)とか「この人は一体どこまで先が見えてるんだ?」って感じでさ。ハメ撮りに至るまでのフローチャートを完璧に作り上げてるらしいよ。女の子がこう反応したら、こう切り返すみたいな。

大森靖子

大森靖子「ひと言でいえば『青春』。岩淵君に謎の主人公感あった」

大森:なにそれ!めっちゃ見てみたい(笑)。

岩淵:すべてが想定内で、だからこそどうすれば想定外の事態が起こるかもわかるから、意図的にアクシデントを起こせるみたいな。でも、そんなこと俺にはできないから、鉄砲玉として「行け!」と言われたら突っ込むことしかできないよね。そういう意味では、映画を観る人の目線には、自分の方が親近感を持って観えるかも知れない。

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