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困難なキャバ嬢のお部屋探し。入居審査に6回落ちた女の子も

コラム

入居審査に6回連続落ちた、女の子も

――そもそも東京ではクルマ通勤という文化もあまりないですからね。仕事が終わるのは夜中で終電はないですし、毎日、長距離タクシーというわけにもいかないし、始発を待つのも大変です。

青木:女性だとオートロックとか内廊下とか、セキュリティ面も気にされますしね。だから物件探しは大変ですけど、でもこれだけマンションが建っているんだから、まったくないなんてことはないという気持ちで探しまくりますね(笑)。

――そうやってご苦労の末に条件を満たしたいい物件と出合えても、その後に厳しい審査が待っているんですよね。

青木:もちろん通らないケースもざらにあります。私の経験では最大で6部屋落ちた子もいて。審査に続けて落ちると、どうしても本人は落ち込んでしまうんですよ。自分がどれだけ社会的に信用されていないんだと自信をなくすことになるから。

 そうなると仕事にも影響がでて収入が落ちちゃうとか、悪循環につながります。だから私たちが一緒になって落ち込んでいるんじゃダメで、とにかく励まし続ける。「絶対に見つかりますから、大丈夫ですよ」って。それは結構大事ですね。

――保証会社からもいろいろ聞かれることがありますよね。

青木:ホントにそうで、かなり突っ込んでくる保証会社さんも多いんです。親御さんが離婚されていて緊急連絡先の名字が違うと、それだけで根掘り葉掘り尋ねてきたり。のっぴきならない事情を持っている子も少なくないし、言えない事情があって働かなきゃいけないコもいる。もちろん保証会社さんでも保証人の代わりをするわけですからある程度聞くのもしょうがないんですけれど……。だから、やっぱり私たちはとにかく励まし続けるしかないですね(笑)。

大家は「面談してくれるだけでありがたい」

不動産

「まだまだ水商売に対する偏見のようなものは多い」青木さん

――保証会社がOKでも、最終的に大家さんがOKしないと入居できないですよね。そこで拒否されるパターンも?

青木:あります、あります。私の個人的な実感ですけど、不動産業界ってオーナーさんはどうしても年配の方が多いじゃないですか。だからまだまだ水商売に対する偏見のような見方も根強いのかもしれません。管理会社もOKで、だけど大家さんで落ちるとかもザラにありますから。管理会社さんが説得してくれてOKになることも多いんですけど。

――大家さんとの面談みたいなことも?

青木:もちろん面談もありますね。夜のお仕事というだけで面談までもいかないことがあるから、面談してくれるだけでももうありがたい。そこで、礼儀正しくフレンドリーに、ちゃんと接することができればなんとかなるんです。

 水商売の子は普段いろんなお客さまに接しているので、キチンとした振る舞いさえできればそこは意外とうまくいける(笑)。だから、面談だったら「ちゃんとしていると思われるようにやりましょう」とアドバイスしています。

<取材・文/鼠入昌史 撮影/渡辺秀之>

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