キンコン西野亮廣に「オンラインサロン運営の意外な苦労」を聞いてみた
絵本作家、サロンオーナーなど多方面に渡る活躍で、これまでの芸人の枠に収まらない地位を確立した、お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さん。
これまでに出した絵本5冊と、ビジネス本3冊はすべてベストセラーという作家としての顔も持ち、最新刊『新世界』(KADOKAWA)では初版の発行部数が10万部(12月6日時点13万5000部)と出版業界において異例の対応がとられました。
今回、そんな西野さんにインタビューを実施しました。
オンラインサロンは限定性のある経験が大事
――今日はお忙しいところ、ありがとうございます。さっそくですが西野さんが主宰するオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」が盛況だとお聞きしてます。その背景には何があると思いますか?
西野亮廣(以下、西野):今は誰でも情報発信できる時代なんで、じゃあ発信をどこで差別化するの? という話になってきてて。そうなると、普段できないことや体験が重要になってくるんじゃないかと。
例えば、「僕、美術館に行ってきました」とインスタに投稿しても、そういう人はたくさんいる。でも、「僕、美術館を造ってきました」だったら、「え、なにそれ」と多くの人に関心を持ってもらえるし、いいね! がもらえる。
――希少価値や限定性のある経験が求められていると。
西野:そうです。みなさんが僕のサロンを面白がってくれてるのは、そういう機会を提供できているからだと思ってます。
盛り上がるサロン、盛り上がらないサロン
――確かに、西野さんのサロンでは様々なプロジェクトやイベントが企画されてます。一方で著名人がオンラインサロンを主宰しても、それほど盛り上がらないケースもあります。その違いは何なのでしょうか。
西野:サロンが盛り上がるには何個か条件があるんですけど。そのうちのひとつは「ちゃんと作品を出していること」。要は成果物があることなんです。たとえば堀江(貴文)さんなら「ロケット」であったり、編集者の箕輪(厚介)さんなら「ベストセラー」だったり。なぜならちゃんとした成果物がないと、サロンメンバーが迫害を受けることになってしまう。
――迫害というのは?
西野:周りの人から「おまえ、搾取されているだけだ!」と言われて、肩身の狭い思いをしてしまう。理解の追い付かない人が使うキラーワードって「宗教」なんですよ。
自分にとってよく分からないものに遭遇したら「それって宗教でしょ」とレッテルを貼る。そう言われた時、水戸黄門の印籠のように「いやいや、うちではこういうの作ってますから」とドーンと出せるもの。それが成果物です。
――西野さんにとっての印籠が『えんとつ町のプペル』ということですね。
西野:だから成果物をちゃんと出せる「作家性」みたいなものがないと厳しいですよね。実は堀江さんってすごい作家なんですよ。ロケット作るし、本を出すし、舞台に挑戦したりもしている。
そういったものがないと辛くて、コミュニティ運営だけではサロンメンバーは満足しない。場を提供するだけにとどまっているサロンはやがてしぼんでしまう。