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キンコン西野亮廣に「オンラインサロン運営の意外な苦労」を聞いてみた

ビジネス

オンラインサロンの運営事情は?

西野亮廣

コミュニティをハンドリングしていくのは、とても大変

――西野さんがサロン運営で苦労される点はありますか?

西野:やはり1万5000人以上いるコミュニティをハンドリングしていくというのは、とても大変です。実際、問題やトラブルは起きますし、起きたら解決しないといけない。

――過去にはどのような問題が起きたのでしょうか。

西野:僕がメンバーにきつく言ったことが1回あって。会員増加と共に「フリーライド」する人が増えたんですね。たとえば「キンコン西野のサロンメンバーであること」をある種のブランドにして、他へ勧誘するような行為です。

 怪しいセミナーに勧誘したい団体がいたとして、自分たちの団体名を名乗るよりは「キンコン西野のエンタメ研究所のメンバーです」と名乗ったほうが人も呼べるし、安心感もある。そういう使い方を何人かがしはじめたタイミングがありました。

――どんな対応を取られましたか?

西野:当人と直接会って「それはやめてね」と言いました。やっぱりそういうところはシッカリやっておかないと。「同じサロンメンバーだから」と安心して行ったら、断りづらい感じで勧誘されて、変な高額セミナーにサロンメンバーが巻き込まれたら嫌じゃないですか。

 過去にそういうことが起こりそうになった時、個人的に注意をしに行きましたし、サロンメンバー全員に「こういうことはやめよう」と周知しました。以後はそれをやったら退会処分としていて、そこだけはシビアにしています。

サロン内に出来つつある経済圏

西野亮廣

西野亮廣『新世界』(KADOKAWA)

――サロンの会員が増えてくると大変な事がある一方で、メリットも生まれたのでは?

西野:サロンメンバーが1万人を超えたあたりで、僕が日本のどこに行ってもだいたいメンバーがいる状態になったんです。それで、「どうせその土地でお金を落とすなら、サロンメンバーが働いているお店でお金を使いたい」と思って、皆の意見を求めました。

 そうしたらメンバーからも「私もお金を使うなら、知らないおっさんが働いている店よりサロンメンバー、つまり自分と同じ価値観を持った人が働いているお店を利用したい」という意見が出てきた。

 だったらサロンメンバーが働いているお店がわかる地図を作ろうということになりまして、それが「エンタメ研究所MAP」です。これでメンバーが働いているお店と、そこに行きたいメンバーがマッチングできるようになった。

――ある種の経済圏がオンラインサロンに誕生しているのですね。

西野:サロンの人数が1万人を超えるとそういうことが可能になってくると思います。これが30人のオンラインサロンだったら、最寄りのお店を調べても、100キロ先で徒歩8時間かかるとかになるので、機能しない。本当に人数が増えたことによって生まれた仕組みですね。

 これまでは僕が情報を発信してそこに来てもらう関係だったのが、今はサロンメンバーが情報を発信して、サロンメンバーがそこに集まったりしている。そこにはもう僕は居ないんです。

 少人数のサロンだったら、僕対メンバーの関係で終わってたものが、人数が増えたことによってメンバー同士の交流が生まれてます。たとえば、今もこのインタビューの裏で福岡のお店でサロンメンバーが集まって、ワイワイやってるみたいなことが起きてるんです。

<取材・文/栗林篤 撮影/市村円香>

元IT企業のサラリーマン。株主優待と家賃収入で細々と暮らすフリーライター。著書に『サラリーマンのままで副業1000万円』がある

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