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AIが描いた絵は著作権で守られるのか?│弁護士が解説

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AIの進化により、専門的な知識・技術がなくとも誰もがイラストや文章、音楽といったコンテンツが手軽に作れるようになった。最近では、こうしたAI生成コンテンツを販売し、副業として収益化する人も増えている。

しかし、それと同時にAI生成コンテンツの著作権のあり方について、多くの場所で討論が交わされている。急激に進化した技術に対して、法律や判例、モラルが追い付けていないのも一つ要因だろう。今回、AI生成コンテンツの著作権という問題に対し、アディーレ法律事務所の正木裕美 弁護士に見解を尋ねてみた。

AI生成コンテンツに著作権が認められるケースとは

著作権法では、著作物の定義を「人の思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」としています。これに則ると、創作者の指示によらずAIが自動生成した生成物は、人間の思想や感情を創作的に表現されているとはならず、著作物の定義から外れます。

しかし、制作者が生成AIに対し、具体的な指示やプロンプト入力を行い、オリジナリティを加えたコンテンツの生成を行った際は、AIは創作のための道具にすぎないと評価される可能性があります。この場合は、人間の創作的表現を介した著作物と評価され、入力等を行った製作者に著作権が発生することがあります。また、著作権が認められない自動生成されたAI生成コンテンツに対し、人間が創作的表現といえる修正を加えたときは、修正部分については著作権が認められると考えられます。

著作権の発生が評価される基準として文化庁は、①指示・入力(プロンプト等)の分量・内容、②生成の試行回数、③複数の生成物からの選択、などを判断要素として挙げており、人間による創作的寄与がどの程度積み重なっているかを総合的に考慮して判断すると示しています(文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」、令和6年)。

2025年11月には、他人が生成AIツールを利用して制作した画像を無断でダウンロードし、自らの電子書籍の表紙に転用した男が、著作権法違反の疑いで書類送検された報道もあります。この事案では、元の制作に使われたAIツール上で、創作者が2万回以上にわたり、生成結果を確認しつつ、プロンプトを調整していたとされることなどから、相応の試行錯誤や主体的な関与があり、著作権が認められると判断されたと考えられます。

著作権侵害は「類似性」と「依拠性」の両立

法律上では、著作権侵害と認められるための要件は、「既存の著作物に似ている」と感じるかどうかではなく、「類似性」と「依拠性」の両方が認められることです。

「類似性」とは、単に似ていると感じたり、ありふれた表現やアイデアに共通点が見られたりすることではなく、判例上は、既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得できることを指します。

一方、「依拠性」とは、既存の著作物を参考にして作ることを指します。既存の著作物に接する機会の有無や類似性・同一性の程度等に照らし、創作者が既存の著作物の表現内容を認識していたといえるかどうかによって判断されます。

生成AIでは、利用者が元作品を知らなくても、開発・学習段階で使われた著作物の表現が出力されることもあるため、この「依拠性」の判断が争点となることが多いです。

AI利用者が既存の著作物を周知した上で、その創作的表現を表すものを生成させたときのみならず、開発段階で生成AIの学習材料として既存の著作物が利用されており、創作的表現が生成・出力される状態にあったときは、依拠性があると推認されて著作権侵害となり得ると指摘されています。

一方で、そうでない場合は、「偶然の一致」と判断され、著作権侵害とはされないこともあります。なお、個人による私的利用や教育機関で授業での利用といった利用目的によっては、類似性や依拠性が認められたとしても、著作権侵害とはしない例外も設けられています。

自分の作品がAI学習データに使われた場合の法的手段

自分の作品が著作物に該当するとしても、AI学習に使われたからといって必ずしも著作権侵害となるとは限りません。どのような目的で利用されたのかが問題になります。

前提として、学習段階での著作物の利用については、統計解析やパターン抽出など、作品そのものの鑑賞を目的としない場合には、必要な範囲に限って著作権者の許諾がなくとも利用を認める権利制限規定が置かれています。

しかし、鑑賞目的がある場合や、特定の作家のデータだけを大量に収集してその作風を再現するための学習や、著作権者の利益を不当に害する利用は違法になる可能性があります。

AI学習への作品利用が著作権侵害となる場合には、民事では、差止請求(生成や生成された侵害物の利用の差止め、データセットからの廃棄など)のほか、損害賠償請求や不当利得返還請求を行うことができます。刑事責任を追及するための刑事告訴を行うことも可能です。

AI生成コンテンツの営利目的で利用する際の注意点

AI生成コンテンツの販売にあたり、他人の権利を侵害せず、自分の権利を守るためには、著作権法の考え方を正しく理解し、次のようなことに注意することが必要です。

・生成AIサービスの利用規約や料金プランで商用利用が認められているか確認する
・出品サイトやプラットフォームのAIに関するポリシーや禁止事項などのルールを確認する
・既存の著作物に類似したものがないかを検索・確認する
・パロディ・二次創作等は権利者の許諾する範囲内に限定する
・自分の創作的寄与を示すために、プロンプトや編集の履歴を残しておく

そして、著作権以外にも、有名人と似ている画像コンテンツを無断で販売すると、肖像権やパブリシティ権の侵害、他社ブランドに類似したデザインを利用すれば、商標法や不正競争防止法上の問題など、AI生成の商用利用には法的リスクが存在します。

AI生成コンテンツを商用利用するときは、著作権以外の権利や手続にも配慮しておくことが大切です。生成AIをめぐっては、既存法での対応の限界や新たなルールの必要性につき、まさに議論が続いている最中です。今後の立法や裁判例の動向にも目を向けておくとよいでしょう。


■担当弁護士プロフィール

アディーレ法律事務所 正木裕美 弁護士

一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。

アディーレ法律事務所HP: https://www.official.adire.jp/

画像:PIXTA


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