若手が不満を持つ横柄な管理職の特徴。「外に出さないで」と言われる原因はどこに
「日本人は生産性が低い」。昨今、こんな言葉をよく耳にするようになりました。まるで個々の働き手の責任のようにも感じられますが、生産性の高低は、必ずしも私たち個人の責任ではなく、時代、景気、環境、職場、人間関係……自分の頑張り以外のさまざまな要因が絡み合っています。
これまで400以上の企業・行政機関に携わってきたワークスタイル&組織開発専門家の沢渡あまね氏は、「生産性も働きがいも、仕事は職場が9割」と言います。むやみに自分を責めたりネガティブになる必要はまったくないそうです。今回は沢渡氏の著書『仕事は職場が9割 働くことがラクになる20のヒント』から、一部抜粋・編集してご紹介します。
「下請け思考」からの卒業
Q:クライアントから、なし崩し的に発注内容以上の作業をリクエストされました。どう返事をしますか?
A▼「なんとか頑張ってみます!」と二つ返事。
B▼自分の状況を説明し、追加の予算が出るかどうか確認する。
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高度経済成長期、つまり日本がまだ景気が良かった時代を支えてきたのは、製造業です。当時の製造業の現場では、「決められたことを決められた形でやる」ルーティンが重要視され、ピラミッド型の上意下達の組織が多く、その名残がレガシー企業(=古い歴史と規模を持つ企業)を中心に根強く残っています。
そして、この上意下達は、社内では「上司・部下」ですが、社外に出ると「クライアント→元請け→下請け」と広がっていきます。「仕事はみんなで苦しんでやるもの」なる思い込みの延長線上にあるのが、「下請け思考」です。
自分が発注元になった時、横柄な態度に
「お客様の言うことは絶対」「お客様は神様」。冒頭の質問の「A」のように、どんなに理不尽で時代遅れなリクエストでも、言われるがままに従う。本来はクライアント側から追加の作業内容と予算について提示があるべきところでも、議論や対話すらしようとせずに、言われたままに粛々とやる。それが自分たちの仕事なのだ、と。
こうした考えは、裏を返せば自分が発注元になった時、下請け企業に対して横柄な態度として表れがちです。企業対企業でなくとも、職場の非正規社員や協力会社のスタッフを「業者」扱いして、あごで使うような人も、いまだにいます。
産業構造として「クライアント→元請け→下請け」の関係性が根付いていると、働き手にも殿様商売気質が染み付いてしまい、本人にそこまで悪気がなかったりするから厄介です。
ですが、はっきり言います。これは個人にとっても組織にとっても、かなり大きなリスクです。