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『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督に聞く「逆境の楽しみ方」

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 異例の大ヒットとなっている映画『カメラを止めるな!』。2018年の日本映画界において最大の“事件”ともいえる本作は、都内2館で上映がスタートしたのち、映画ファンはもちろん、普段は映画館に足を運ばない層まで取り込み、いまや累計上映館数は225館以上となっているほどです。

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映画『カメラを止めるな!』©ENBUゼミナール

 誰にも止められない快進撃は続き、製作費300万円のインディーズ映画にもかかわらず、観客動員数はついに100万人を突破。

 現在は、アメリカやカナダをはじめ韓国での上映も開始。国外でも着実に“感染者”が増加中です。そこで、“カメ止め旋風”を巻き起こし、一躍時の人となった上田慎一郎監督に、いまの心境から撮影秘話。そして20代の読者へ伝えたい思いを語ってもらいました。

この状況を自分でもまだ捉えきれていない

――いまや社会現象となっていますが、まずはこの状況をどのように受け止めていますか?

上田慎一郎(以下、上田):取材やテレビ出演が毎日あったり、驚くようなニュースが数時間ごとに届いたりするような日々なので、自分がいまどう思っているかを確かめる暇がないというのが正直なところですね。

――ご自身ではヒットの要因はどこにあったと分析していますか?

上田:まずはネタバレできないベールに包まれた映画ということもあり、観た人が「とにかく観に行ってほしい」と熱量をもって周りに勧めてくれていること。それから、2回目以降は全然違う楽しみ方があるので、リピート性の高さもあると思います。あとは、有名な人が出ていないので、親近感をもって観られるというのもありますね。

 実際、無名の俳優と新人監督が作る低予算の映画がここまでになったという作品の外の“物語”を含めて応援してもらっている感じです。とはいえ、興行的にいいからこうしようということは一切考えてなかったので、あくまでも結果論ですね。

上田慎一郎

上田慎一郎監督「影響を受けた作品は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』」

――本作はゾンビ映画という枠を超えて、あらゆるジャンルが混在する作品ですが、それぞれの分野において影響を受けた作品はありますか?

上田:それは山ほどありますね。まずゾンビもので一番好きなのは、ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』。あと、『ビッグムービー』というインディーズチームが映画を作るという話では、ろくな映画に仕上がってないにもかかわらず、みんなが楽しそうに一生懸命やっている姿とチームの一体感は影響を受けています。

 それから、ウルグアイの映画で『SHOT/ショット』というのがありますが、これは86分ワンカットのホラー映画。アメリカの映画もそうですが、生き残る女のコはだいたいタンクトップにホットパンツで、途中で足をくじくんですよ(笑)。

 そのほかには『ラヂオの時間』や『パルプ・フィクション』、『運命じゃない人』、『アメリカの夜』、『蒲田行進曲』とか、挙げるときりがないくらい。僕は趣味がないので、映画を観ているか映画を作っているかのどっちかというほどなんです。

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