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『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督に聞く「逆境の楽しみ方」

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――では、上田監督の作家性を形成するうえで、映画以外に欠かせないカルチャーはありますか?

上田:まずはお笑いだと思います。特に思春期の頃はダウンタウンの番組やコントのDVDとかばっかり見ていました。友達と漫才を作って、駅前で披露していたこともあるくらいです。

 あとは、漫画とゲームですね。漫画は本棚に1000冊以上ありますし、学生時代は新しいゲームをするために2、3日学校を休んだこともありました(笑)。

撮影中の「忘れられない」エピソード

上田慎一郎

「思春期の頃は、ダウンタウンの番組やコントのDVDを見ていた」

――映画作りにおいて、お笑いから受けた影響が反映されることもありますか?

上田:お笑いってもちろんセンスもありますが、間の取り方やテンポで、笑いの大きさは変わってしまうものなんです。そういうニュアンスや感覚はお笑いからも学んでいると思います。

――そんな監督のコメディセンスは劇中でも発揮されていますが、撮影中の忘れられないエピソードを教えてください。

上田:いっぱいあるんですけど、ラスト近くのあるシーンを撮影する前日に、ワンカット部分の撮影が無事に終了し、そのプレッシャーから解放されたのか、監督役の濱津(隆之)さんがベロベロに酔っぱらってしまったことがありました。

 翌日の撮影はリハーサルで1回も成功できてないくらい難しいシーンだったのに、濱津さんはフラフラ(笑)。でも、本番ではじめてできて、なんとか15秒くらい撮ることができたんです。

至らなかった部分も含めて作品に取り込みたい

――成功したことがないということで、本番の前に内容を変更しようとは思わなかったですか?

上田:「無理だから違う案に変えよう」とは思わなかったですね。というのも、ギリギリできるということが大事であって、普通にできちゃうことだったら、そこにドキュメントが混ざってこないんですよ。だから、役者は成功させるのに必死で、ほとんど芝居してないんです(笑)。

 それは37分ワンカットのところも同じで、最初は「ワンカット風で撮ろう」と言われたこともありました。でも、難しいからこそやりたかったし、至らなかった部分も含めて作品に取り込みたいと思っていたんです。

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