「転職で年収アップ」の考え方はかなりキケン。キャリアで持つべき“2つの視点”
未来ではなく、過去の話が知りたい
面接に挑むとき、求職者の皆さんは、新しい環境でやりたいことや、身につけたいスキルなどといった未来の話をすることが多いのではないでしょうか。ですが実は、企業が詳しく知りたいのは「過去の経験の話」なのです。
未来の話は、ポジティブな話をいくらでも作ることができます。皆さんの言葉を借りると、「話を盛る」ことができるんですね。でも過去の話の創作は難しい。ファクトを中心にさまざまな角度から質問をぶつけていくと、その人のドラマが映像として頭に浮かんでくるから、ごまかしが効かなくなっていきます。
「どんな工夫をしたか」「どんなメンバーと成し遂げたか」と、過去の話を細かく掘り下げていくと、その人の仕事に対する価値観や判断基準、行動特性が見えてきます。過去の話は、人となりを判断するのにとても有効なのです。
華々しい実績がなくても大丈夫
しかし、過去の話をすると言っても、特に20代の方は「大きな実績もないから何を話せば良いのかわからない……」と思ってしまうことも多いはず。でも、重要なのは結果ではなく、「プロセスと、プロセスで得たもの」です。ここをしっかりと話せれば、華々しい実績がなくても問題ありません。
一例を挙げましょう。体育会系の部活に所属している学生が、大会で素晴らしい戦績を残したとします。とても就活に有利そうに感じますね。ですが、どのようなプロセスを経てその成果にたどりついたのかを詳しく聞いてみると「体格や環境に恵まれていて、優秀なコーチが作る練習メニューを一生懸命やっていたら、結果がついてきました」というケースがあります。
一方で、アピールできるような戦績は残せなかったが、「マイナースポーツで指導者もおらず、環境も整っていなかったが、学生たちで力を合わせてアイディアを出し合い、インターネットを活用して情報を集めて練習メニューを組んで試行錯誤を繰り返した」という学生もいます。