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大企業からの転職で後悔する人が増えている?ベンチャー企業の“誤解と後悔”

学び

「あの人は落ちたね」と言われたら、チャンス

キャリア

高野:人気企業や有名企業に就職することがキャリアアップになると信じ込んでいる人は例えば前職で営業をしていた人が退職後、運送の仕事をすると、「あの人は落ちたね」などと言います。僕は、むしろチャンスだと思うんです。「落ちたね」と言われたところから、キャリアメイクが始まる。

 その人は皆と反対の方向に進んでいくのですから、成功する可能性は高くなる。ドライバーを集めて、会社を経営するようになるかもしれない。ところが、多くは皆と同じ方向に進もうとします。

――その心理はわかるような気がします。誰もが失敗が怖い、皆と同じならばとりあえず安心ですからね。

高野:日本の経済や市場は今、そのような状況ではないと思います。経済規模は小さくなり、様々な市場が拡大できずに伸び悩んでいます。そこで生き残るならば、他と違わないといけないのです。

大学受験とは正反対の発想で考える

高野:そのためには就職も大学受験とは正反対の発想で考えたほうが成功する可能性が高くなります。例えば、東大の試験に最下位でも合格すればその後の人生は、会社員ならば30歳までくらいは他の大学を卒業するよりは有利な面が多いと思います。就職は、採用試験で最下位の評価で内定を得て入社すると、キツイでしょう。

 会社員は、仕事の結果を残さないといけない。まずは、試合に出なきゃいけないんですが、低い評価の人はその機会は少ないんじゃないでしょうか。業績が拡大し続ける企業は仕事が多いから、低い評価の人でも何らかの試合に出ることはできるかもしれません。だけど、業績が拡大し続ける企業は日本にはほとんどありません。

 こういう状況では人件費が安くて、よく働くような人に交代する流れが一段と強くなっていくんです。市場の拡大ができないから、交代を繰り返していくことで企業を存続させるしかない。交代させられないようにするためには、みんなが目をつけていなくて、自分がそのことが好きで、勝てそうだと思えるところを狙っていくべきです。それがスタートアップ企業にはあるのではないか、と僕は考えているんです。

<取材・文/吉田典史>

【高野秀敏】
転職エージェント。1999年、東北大学経済学部卒業後、人材会社のインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。2005年に退職後、ベンチャー企業への転職支援などをするキープレイヤーズを設立し、代表取締役社長に就任。1万1000人を超える会社員(若手クラスから管理職・CXOクラスまで)の転職支援に関わる。社外取締役や顧問、投資先は55社以上

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数

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