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元ユニクロ最年少役員が語る、38歳での挑戦「最悪なタイミングだった」

ビジネス

38歳で大きな挑戦に挑むことに

神保拓也

神保拓也『部下・同僚・チーム、あなたの心に火を灯す新常識 悩みは欲しがれ』(KADOKAWA)

――確かに上席執行役員となると、なかなか自分だけの一存で決められないですね。

神保:それから38歳になって、今後の身の振り方をどうしようかと思ったタイミングで、ふたたびより多くの人の悩みに寄り添いたいと思いました。そして個人の悩みに向き合えたら、この先ずっと自分も成長していけるなと思えたんです。

 上席執行役員のまま将来安泰で過ごすよりは、ここからもうひと勝負というか、もっとワクワクできる挑戦ができると思ったので、今のトーチリレーという会社を設立しました。

――トーチリレーは具体的にどんなことをする会社なんですか?

神保:私どもの会社は2名で立ち上げ、トーチング(悩みに対して真剣に向き合い、その所在地を見つけていく取り組み。詳しくは前編にて解説)できるのはまだ私だけなんです。ただ90分1本勝負でどんなに頑張っても午前に2本、午後に2本の合計4本が限界で、全力でトーチングしたら、疲労困憊してほぼ思考が停止してしまいます。

 それでは、ひとり10000円いただく面談にしても、日給で4万円、週5回やっても20万円にしかならず、ビジネス上でも全然スケールしていかないんです。

 また、トーチングを有料にしてしまうと、安定した収入源がない方も悩んでいるのに、悩み相談ができなくなってしまいます。会社を辞めたときの覚悟として「本当にあらゆる方の悩みの相談に乗りたい」と思っていたので、高収入のサラリーマンぐらいしか対象にならない相談所を開いたところで、自分の想いや理念を達成できません。それでビジネスモデルを考え直して、トーチングは全額無料にしようと決めたんです。

最悪なタイミングで起業してしまった!

――2020年に会社を設立しましたが、その時はコロナ真っ只中ですよね。何か大変だったことはありますか?

神保:大変なことしかありませんでした(笑)。正直「このビジネスはコロナで悩みがより増えたので、神保さんのビジネスは軌道に乗りやすかったんじゃないですか?」という見られ方をされることが多いですが、トーチングの事業を立ち上げる前はまだコロナウイルスが流行っておらず、ズーム会議など主流になっていなかった。

 構想して起業したタイミングは2020年3月16日だったので、私は「コロナが世間で話題になっているな」くらいの認識だったんです。起業してこれからトーチングをやっていこうというときに、初めて緊急事態宣言が出たんです。そのうち、ステイホームが呼びかけられ、誰も外にいなくなってしまって、「うわ! やってしまった! 最悪なタイミングで起業した」と思いました。

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