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唐田えりか×山下リオ×伊藤沙莉、「女優に向いてないと思った瞬間」

暮らし

――それぞれ、このシーンの彼女はよかったといった場面を教えてください。

唐田:私はこの3人がソファで話しているシーンのマヤちゃん(山下)の顔。あの目がいまだに頭に残っています。マヤちゃん(山下)が、過去に私と麦が付き合っていたことを知って、「同じ顔だったから好きになったの? 亮平さんに言うの?」って詰め寄る感じの、あのときの目。

伊藤:私もそこかな。女特有の、ねっとりした感じというか。普段の(山下)リオちゃんは全然そういう感じじゃないから、余計に。でもあの感じはすごくリアルだった。

伊藤沙莉

伊藤沙莉さん

山下:私は唐ちゃんの終盤のバスでのショット。セリフはなくて表情だけなんだけど、すごく魅力的な画でした。

唐田:春代(伊藤)とは、最初の方の麦を紹介してからのクラブのシーン。春代(伊藤)が抱きしめてくれているところも好き。

伊藤:あのときは、私が演じた春代は麦のことを「絶対、傷つけられる。やめたほうがいい」って止めるんだけど、朝子(唐田)は絶対言うこときかないなっていうのを感じましたね。守るみたいな感覚で、朝子(唐田)を抱きしめてたんですけど、そこに朝子(唐田)はいるようでいないというか。シュッて消えちゃいそうでした。

女優を辞めたいと思った時期

寝ても覚めても

© 2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/COMME DES CINEMAS

――途中、女優になる夢を追いかけ続けているマヤ(山下)に、瀬戸さん演じる耕介が嫉妬して突っかかるシーンがあります。夢を追いかけ続けること、あきらめる瞬間といった問題は難しいですね。

山下:私、この仕事もう辞めますって言ったことあります。

――思っただけじゃなくて、言ったんですか?

山下:言いました。

――10代の頃?

山下:20代に入っていました。あれが夢を諦めた瞬間だったかなと思います。でも事務所の方が、待ってと引き留めてくれて。もう1回、夢を見ようかなと思いなおしました。そこから本当にこのお仕事が好きなんだということを再確認して。続けようと決めたからには、ちゃんとやろうと思いましたけど、そうした時期はありましたね。

伊藤:私は辞めたいと思ったことはないけれど、向いてないのかなと思った時期はあります。自分の意思というより、客観的に見て。ずっとオファーをいただけてきたわけではないし、オーディションにコテンパンに落ちまくるときもある。同世代の人たちが自分の場所を確立していくなかで、「何やってるんだろう、自分」みたいになって。

 でも、一途すぎなくていいかなと思うようになったんです。夢ならなおさら。実現するまでに時間がかかるにしろかからないにしろ、夢を見るのは自由。だから実現までの間に、別のことをしてもいい。

――伊藤さんも、別のことに目を向けたりされたんですか?

伊藤:何か資格取ろうかななんて考えてました。最悪、辞めるってなったら、何をしようかなとか。できるかできないかは置いておいて、いつでも辞められると思っていたほうが、意外と辞めない気がします。

「これだけ」って、思い詰めちゃうとキツイ。そうなると、この仕事を辞めた私に、誰が興味を持ってくれたり、大事に思ってくれたりするだろう。友達もみんないなくなっちゃうかもといったことまで考えてしまう。こういう道もああいう道もあると考えていたほうが、意外とこのままでいけると思えるし、いつの間にかツラい時期も過ぎます。

山下:確かにそうだね。私も追い詰められたときは、周りが見えなくなっていた。自分はダメだ、ダメだって思っていただけれど、もうダメならダメでいいって。そこも受け入れちゃう。

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