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女性社員のいじめで退職寸前の29歳男性「こんな会社、アホらしい」 プロも悩む難しい選択

学び

パワハラの定義を満たす「3つの要素」

 大津さんはそのうえで、こう指摘する。

「リーダーの女性が男性に行っている行為のいずれもが、法律の定義に基づけばパワーハラスメント(パワハラ)と言えます。『パワハラ防止法(正式名称:労働施策総合推進法)』では、職場のパワーハラスメントとは、次の3つの要素をすべて満たすものを言うのです。

①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの。

 今回のリーダーの女性の男性への行為は、これら3つの要素を満たすものですからパワハラと言えます。リーダーの女性と男性は共に一般職ですが、この場合でもパワハラは成立します。①の『優越的な関係』とは職位(ポジション)や職権、職責の問題だけではありません。例えば10人の部下が集団化し、上司を困らせるために動くのも『優越的な関係』であり、パワハラなのです」

一概にパワハラとは言えないケースも

パワハラ

 厚生労働省では、パワハラを6つの行為類型(身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害)に分類しているが、以下の「➝」は、大津さんが今回の女性たちのそれぞれの行為(【】内の行為)について、それがどの行為類型に該当するかを指摘したものだ。

【会議の場で男に論争を挑む。女性は、このリーダーになびく】➝精神的な攻撃
【男を孤立するように仕向ける】➝人間関係からの切り離し
【女性たちで徒党を組み、口をきかない】➝人間関係からの切り離し
【会議にこの男だけを呼ばない】➝人間関係からの切り離し
【男の仕事の1つずつに、批判やケチをつける】➝精神的な攻撃

「ただし、実際はこれらの行為の対象となる本人(今回は男性)の感じ方によってトラブルとなるか否かは変わってくる。例えば、上司から厳しく叱責された部下が『自分を鍛えるためにこんなに怒鳴ってくれるんだ』と思い、納得しているならば一概にパワハラとは言えないケースがあります。だからこそ、会社の対応は難しいのです

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