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Amazonマーケットプレイスはなくなるかも?「お客様至上主義」の弊害

ビジネス

マーケットプレイスには「パフォーマンスの基準」が

 Amazonには、2001年に開始したマーケットプレイスというサービスがあって、これは第三者がAmazonのサイト上で商品を販売できるという仕組みである。

 このサービスの趣旨は、表向きは小売り・企業との共存とされているが、本当の目的は、当時はまだまだ商品在庫数が少なかったAmazonが、第三者に販売させることによって、サイト自体の商品数を増やすことであろう。販売者が個人であっても、企業であっても、客にとってはAmazonで購入する感覚であるため、Amazonを勝手に宣伝してもらえる構造が作り上げられていた。だが、誰もがAmazonのような機械的な処理をできるはずもない

 問題なのは、マーケットプレイスの販売者と客の間でトラブルになった場合、ほとんどの場合が客優先で処理されることだ。

 マーケットプレイスには、パフォーマンスの基準が設定されており、これを下回るとペナルティを受けてしまう。一度ペナルティを受けると上位表示されなくなり、ステータスを元に戻すには、ペナルティを受けた状態で商品を多く販売して成績を稼ぐしかない。

Primeのスタートで販売者にさらに負担が

レビュー

 それでも改善できないと最悪の場合、アカウント停止になる。Amazon内で販売を続けるには、無理にでもパフォーマンスを維持するしかない

 2005年には、追い打ちをかけるように、Amazon Primeのサービスがスタートした。これによって、荷物が翌日に届くことが定着してしまった。マーケットプレイスで販売しているユーザーが誰しもPrime同様のパフォーマンスを維持するのは難しい。

 そんな価格競争、配送時間競争、理不尽なクレームについていけなくなった販売者は次々に脱落していった。その中には、「ナイキ」と「ディズニー・ストア」などもあった。

 しかし、もうAmazonはマーケットプレイスに注力する気もないだろう。Amazonの商品数は、サービス開始時とは比べ物にならないぐらい増えて、以前は扱っていなかった食品や薬までも販売している。

 自社ブランドも立ち上げ、小売りや卸しを通さなくても直接メーカーから仕入れられる環境が整ったAmazonにとって、マーケットプレイスを無理に展開させておく理由がなくなってきているのだ。

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