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コロナでイベント事業が売上半減した「ぴあ」。ワクチン予約を足掛かりに狙う“次の手”

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コロナ下でのオンラインシフトの試み

 一方、有料オンライン配信市場は448億円と急拡大しています。しかし、有料オンライン配信単体では、「集客エンタメ産業」としての損失を補填できる規模ではなさそうです。ぴあも、それは重々承知とみえており、複数の施策を実施し、今後も予定しています。具体的には、

■ライブ動画配信サービス「PIA STREAM」を2020年5月に立ち上げ
■ ローソンエンタテインメント・イープラスと3社共同でチケット業務の共通基盤システムを開発
■ チケット販売のダイナミックプライシング(変動料金制)の拡充
■ コロナウイルスワクチン接種予約システムの提供

 で、冒頭で紹介した「コロナウイルスワクチン接種予約システム」の提供もその一環と言えます。コロナウイルスワクチン接種予約システムについては、国が運営するシステムにおいて、すでに「実在しない登録情報でも登録できてしまう」不具合も指摘されています。

 多くの商業公演で使用され、大きな負荷に耐えてきた実績がある「ぴあ」がこの領域に参入することは大きなメリットがあると考えられるでしょう。

 そして、オンラインシフトとは少し違う軸ですが、2021年5月13日にぴあ・三菱地所より発表された「業務・資本提携」もコロナ対策のひとつと言えます。両社は昨年(2020年)横浜・みなとみらいに開業した「ぴあアリーナMM」を皮切りに協業を開始し、ライブ・エンタテインメントの運営機能のさらなる強化を目的に、業務提携に至りました。

 また、ぴあが三菱地所を引受先として第三者割当増資を行い、ぴあが資金調達に成功しています。先述したように、コロナ禍の影響によって直近の業績が厳しい中でキャッシュ残高の安定化を図り、ぴあの資金繰りを改善する施策という面もあるのです。

公式サイト・有価証券報告書から見える現場

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 では、現場の雰囲気や働きやすさはどうでしょうか。今回は有価証券報告書・公式サイトの情報・各種判例などからその姿に迫っていければと思います。

 まず、2021年5月22日時点で最新の2020年3月期の有価証券報告書を確認しました。ぴあの平均年収は784万円です。連結の従業員数が330名、提出会社のみでも302名となっており、「グループ全体の給与水準」と言って差し支えありません。令和元年の「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は436万円となっており、「日本の平均以上」と判断できます。

 続いて、判例を確認しましたが、特にありませんでした。一方、ニュース・不祥事として気になるものはいくつかありました。2021年2月に起きた、人気ゲーム「あんさんぶるスターズ!」のライブ公演の抽選販売における「超過当選」の件があります。この件は、設定の不備により、予定抽選数よりも多くの当選数を出してしまい、誤った案内がされたという不具合です。

 不備の内容としては「数字を間違えた」という比較的よくあるものではありますが、エンターテイメントが持つ「感情に訴える性質」を考えると、「当選通知が来たのに、その当選通知が間違っていた」こと、「応募者が事実を知り、ライブ公演が見られない落胆」を考えると、重いミスであると言えるでしょう。再発防止を望みます。

 他にも、2013年に起きた「印税の過少申告」と、2017年に起きた情報漏洩事件があります。前者の「印税の過少申告」はぴあが刊行した書籍において、印税の支払いに必要な印刷部数について、取引先に虚偽の報告をしていたことが発覚したものです。社内調査の結果、最初に発覚した書籍以外にも同様の事象が起きていた旨が報告されています。

 後者の「情報漏洩事件」は、2017年4月に発覚したもので、ぴあが運営を受託していた「B.LEAGUE」のチケットサイト・ファンクラブ受付サイトにサイバー攻撃が行われた結果、個人情報が流出したものです。本件では、クレジットカード情報約3万2000件を含む、最大約15万5000件の個人情報が流出しました

 あくまでも「ぴあ」本体とは独立したものではありますが、流出件数が多く、クレジットカード情報も含むものだったことは認識しておく必要があるでしょう。なお、本件は2017年8月に対応が完了し、「B.LEAGUE」におけるクレジットカード決済・ファンクラブ入会も再開しています。

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