「若ハゲ」はどうすれば治る?薄毛に悩む23歳ライターが専門医の診察を受けてみた
未成年でもハゲる人はハゲる
ここからは、「若ハゲ」の筆者が、小山医師に若ハゲの実態やメカニズム、対策を聞いていく。
――そもそも、人はなぜハゲるのでしょうか?
小山太郎(以下、小山):男性の場合は男性ホルモンの働きにより、思春期以降に髪が徐々に細く抜けやすくなっていきます。男性ホルモンに敏感な髪の毛が頭頂部と生え際に集まっているので、この部位で薄毛が進行していきます。薄毛の進行には個人差があり、80%程度は遺伝子で決まっていると報告されています。生まれた時点で将来、どのように薄毛が進行していくかがほぼ決まっているという事になります。
――では、「薄毛」とは医学的にどういう状態を指すのでしょうか?
小山:1平方センチメートル当たりの髪の毛が何本以下だと薄毛、といった基準はありません。「多くの人が考える年齢相応の毛量と実際の毛量にギャップがある場合」が薄毛となります。一方で、もともとの毛量に個人差がある事を考慮すると、「自分が理想と考える毛量と実際の毛量にギャップがある」場合も薄毛と言えます。
――私のように、10代や20代で薄毛に悩む人はどれくらいいるのですか?
小山:10代の男性の10人に1人が男性型脱毛症、いわゆる薄毛の状態になっているとされています。当クリニックでも、20代の患者様が全体の患者様の約10%を占めています。また、薄毛についてのクリニックへの問い合わせ件数の17%が20代の男性からです。少ないものの10代の患者様もいます。
薬と正しい生活習慣がハゲ対策に
――若ハゲの対策にはどんな方法が考えられますか?
小山:男性であれば年齢に関わらず薄毛になっていくメカニズムは同じです。薄毛の進行抑制や発毛効果が証明されている薬による治療が最良の対策になります。
薄毛の原因となる男性ホルモン、ジヒドロテストステロンの産生を抑える飲み薬にフィナステリドとデュタステリドがあります。これらを服用する事で薄毛の進行を抑える事ができます。他に、毛の細胞の増殖を促し、毛を太く、本数を増やせるミノキシジルという塗り薬の発毛剤もあります。当院では、これらを試しても満足のいく効果を実感できない人に対してオリジナル治療も用意しています。
――しかし、薬の服用は副作用が出たり、一生飲み続けたりするイメージがあります。
小山:どんな薬にも副作用はあります。フィナステリド、デュタステリドは男性ホルモンの代謝に影響することから、服用した男性の数パーセントに性欲の減退、勃起の低下といった副作用が現れると報告されています。ミノキシジルは塗布した部位で頭皮の痒みや赤みが現れる場合があります。いずれも、薬の副作用であれば、薬を中止することで解決します。
また、薬を中止すれば、その効果はなくなりますので薄毛治療に1年取り組んだからこれでおしまい、というわけにはいきません。一方で、薄毛の本質は「年齢相応の毛量との自分の毛量とのギャップ」なので、年齢を重ねていく中で、自然に自分で終わりにしようと思える日がやってきますので、何十年も薬を続けていくということはありません。
――薬のほかに、なにか対策などは考えられますか?
小山:薄毛がどう進行していくかについては、80%は遺伝子、つまり生まれつき決まっているわけですが、残りの20%は何かしらの後天的要因で決まってくるわけです。そこに対策を講じるのがよいでしょう。ただ、残念ながら、その後天的要因の詳細は解明されていません。「良質な睡眠」「栄養バランスのとれた食生活」「ストレスの少ない生活」「喫煙を避ける」などが重要になってくると考えます。