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下はパンツでリモート面接 「コロナ就活」企業と学生の“現在地”/常見陽平

ビジネス

同じ姿の学生たちを見かけなくなった

就活

 2020年の就活市場は、コロナ禍で走りながら誰もが試行錯誤していたが、ノウハウが蓄積されるにつれてだんだんと状況も変化してきた。

 オンラインが常識になりつつある中で、変わった部分もたくさんある。同時期に一斉に黒髪になり、似たようなリクルートスーツを着て歩く就活生たちの姿を見かけなくなったのは、いわゆる「就活の闇」がなくなったという見方もできる。

 一方で、学生たちにとっては、それぞれの経験談を語り合える場所がなくなり、ガス抜きをすることもできず、孤立状態になってしまったのはマイナスかもしれない

 とはいえ、リモート環境下で、企業側も説明会やインターンシップの名目で大勢の学生を一つの場所に集める必要がなくなった。先輩社員と繋がるきっかけさえ作れば、Zoom上でOB・OG訪問を行えるようにもなっており、ある意味チャンスは広がっているとも言える

都市部と地方の状況にも変化が

 就活のチャンスでいえば、リモート化で都市部と地方の差がなくなったのも目立つトピックだ

 以前から、就活市場では「地方の学生たちをいかに救済するか」が課題だった。地方の学生が都市部で就職活動をしようとすると、やはりお金がかかる。

 2020年3月卒業生について株式会社ディスコが調べた統計によれば、就活費用の平均は13万6687円。もっとも高かったのは北海道で23万3525円と公表されていた。

 従来の就活では、東京の企業で就職活動をしようとウィークリーマンションに一時的に住む学生たちもいた。ところが今では、企業によっては最終面接までオンラインで済むようになった。名のある大手企業にもたやすくエントリーできるようになったのは、学生たちにとって大きなメリットに違いない

 ただ、地方の企業が戦々恐々としている事実もある。これまで、地元の学生たちに就職してもらおうと必死になる企業の姿があった。ただでさえ人材を集めるのに苦戦していたのに、この状況下である。優秀な人材を刈り取られるリスクが浮き彫りになってきていて、今後ますます格差が広がることも考えられる。

 ニューノーマルの浸透により、企業側と学生側の立場が対等になりつつあり、就活市場はまさに、刻一刻と変化しつつある。

<TEXT/千葉商科大学国際教養学部准教授 常見陽平>

働き方評論家。千葉商科大学国際教養学部准教授。1974年、北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業、同大学院社会学研究科修士課程修了。『社畜上等!――会社で楽しく生きるには』など著書多数
■Twitter:@yoheitsunemi

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