大手の子会社なのに手取り16万円…28歳女子、転職での「誤算」
収入減で生活スタイルに変化が
個人の可処分所得の減少を受け、弥生さんの生活は大きく変わりました。
「外食が好きで、前職の時はけっこうお金を使っていました。ですが今はほとんど毎日自炊ですね。夕飯の残りを翌昼会社へ持って行き、一人ランチが定番です。この間、1か月ぶりくらいに同僚と美味しいお店へランチに行ったら、味付けの濃さに面食らってしまって。知らないうちに、身体が自炊の薄味に慣れてしまったようです(笑)。夫のほうはこれまでとあまり変わらず、たまに夜中まで飲みに行ったりしていますが……。
化粧品はデパコスからドラッグストア品へと変わりました。おしゃれも好きでしたが、そこに費やすお金が無くなってしまいましたね。以前は『ファビオルスコーニ』の靴が好きでしたが、最近は『靴のヒラキ』で買ってます。生活用品もまとめて激安で買えるので、おすすめです」
どうしても息抜きがしたくて…
そう殊勝に語る弥生さんですが、人間、慣れ親しんだ生活レベルを急に下げることは至難の業。最近、あることをやらかしてしまったそうで…。
「節約生活の息抜きをどうしてもしたい……だけど私にはお金がない……。となって、子ども用の預金口座に手を付けてしまいました。次のボーナスはその補填に消えてしまいます」
ただし、それでは自転車操業状態。仕方なく弥生さんは最近、副業を始めたといいます。
「スキマ時間でライター業を始めました。クラウドソーシングサービスで受注しファッション系から家電、下ネタまで手広く書いてます。始めはカンを掴むのに難儀しましたが、最近は少しづつ慣れてきました。本業と子育ての合間に効率よく稼いでいきたいなと思っています」
旧来の価値観では「あがり」ともいえる恵まれた環境を掴んでなお、人生にもがき続ける弥生さん。彼女の話は、制度や社会が幸せへのレールを敷いてくれる時代の変化を象徴しているように思いました。
<取材・文/浅原浩 イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>