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「さいたま新都心は、海のない豊洲」湾岸 VS 埼玉の住宅事情を比較<のらえもん×すんで埼玉>

暮らし

住むための街だからこそ、湾岸は今なお元気

――今年はコロナ禍でさまざまな業界に影響が出ていますが、お二人からみてそれぞれの土地についての影響は?

のらえもん:湾岸エリアですけど正直、そんなに変わっていないと思います。むしろ公園とかで人の動きが活発になった印象もありますね。都心の会社へ勤めていてリモートで働ける環境もありながら「週2、3回は会社へ来い」といわれている人は、感染リスクを考えるなら電車に乗る時間が少ない都心に近いほうがいいと考えるのも当然だし、最近の傾向ではコロナでむしろ湾岸エリアの価格が上がっているんです。

 また、銀座や六本木みたいなインバウンド需要でブイブイ言わせていた歓楽街やオフィスビルが立ち並んでオフィスワーカーの分厚い需要に支えられていたエリアの飲食店が寂しい状況になりつつある中でも、豊洲や月島の辺りは空き店舗が目立たないくらい元気なんですよ。住宅に重きを置いていたエリアだったので、住む人たちが普通に生活しているし、遠くに外出する人たちが少なくなったぶん、どのお店も案外混んでいる印象です。

すんで埼玉:埼玉も、コロナの影響はあったのかな。コロナ禍で職場のリモート化が進み、「自宅にもう1部屋か、2部屋は欲しいよね」となった人たちもいるはずで、間取りを見直そうとした人たちはいるかもしれませんね。知り合いで20代中盤のリモートワーカーがいるんですが、都内で家賃10万円の場所に住みながら、ベッドで仕事をしなきゃいけないのを見ていてもかわいそうで……。

のらえもん:湾岸だと1部屋増やそうとすると、安くても2000万円はしちゃうからね。だから、合理的に考えて、1部屋追加が500万円くらいで済むなら「埼玉を選ぼう」という話もありえる気はします。

埼玉という“劇薬”に耐えられるか

大宮駅

大宮駅

――元から住んでいる人たちが間取りを見直そうとするのはもちろん、埼玉へ移り住む人たちも増えそうですか?

すんで埼玉:どうでしょう。そこは難しいところで、僕は「東京在住の世帯年収1000万円超のパワーカップル」を埼玉へ連れてくるというコンセプトで事業をやっているんですが、正直なところ全員に移り住んでほしいとは思っていないんです。何せ、埼玉は劇薬だから。

のらえもん:劇薬って何なの(笑)。

すんで埼玉:そもそもみずから意地でも「埼玉へ住んでやる!」なんていう人、いないと思うんですよ。自分から湾岸エリアの豊洲や勝どきに住みたいと思う人たちはいるかもしれないけど、東京から埼玉にわざわざ移り住むというのは、感情と合理のせめぎ合いの末の決断だと思うんです。だから、劇薬を飲んでも耐えられる人であれば、来たほうがいいって感じですね(笑)。浮いた予算を投資に回したり趣味や子供に使ったりできるメリットももちろんあります。

 それに、少なくとも都内と比べて、クセの強い人たちもちらほらみかけるというか……。品のある方ももちろんいますけど、昼間に街中を歩いていて隣にふとワンカップ大関を手にしている人たちがいるケースもあるので(笑)。ただ、僕はそもそも埼玉の中でも田舎町の鴻巣市出身で、港区に住んでいたこともありますけど、地域ごとの振り幅をピンキリで知っておくのも人生経験としてはアリだなと思います。

のらえもん:僕も郊外から上京してきた人間だから、言っていることがすごいよく分かる。日本のマジョリティは「国道16号線(「東京環状」とも呼ばれ、横浜市、相模原市、八王子市、さいたま市、千葉市を結ぶ)沿いにある」と思っているんですが、都内で仕事をしていると、東京産まれ東京育ち、ハイソな奴らだいたい友達的な人たちは日本のマスをぜんぜん見れていないなと思うことがよくあります。“国道16号線”の感覚を持つことは、社会で生きる強さにも繋がっていきそう。

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