「二番底は当分こない」森永卓郎の息子がAIで読み解く、コロナ後の経済
コロナでも消費が伸びた産業はある
森永:実際、データを見るとスーパーと酒屋の売上がこの時期ものすごく伸びてます。大手スーパーの「ライフコーポレーション」は全従業員に特別支給金を出しているし、多くの会社が夏のボーナスを下げる中で、スーパーはきちんと賞与を出したりと、めっちゃ儲かっています。
酒屋も、もともとコンビニに押されてる斜陽産業なんですけど、宅飲み需要が出て特需が起きていた。スーパー・コンビニが扱うお酒の種類も限られてるし、飲み飽きた人たちの足が、酒屋へと伸びたのです。
――そんなことまで分かるのですね。
森永:こういう消費者の行動は、伝統的な政府統計からは見えてこないものです。それがオルタナティブデータからは読み取れて、今回消費は4月後半で底を打ったと僕は見ている。この先、国の統計が出てくるわけですが、おそらく同じような結果となるでしょう。
消費者のマインドが戻ってるといっても、それは自粛で抑えてた反動で、決して「収入が上がったから前より使おうぜ」という話ではありません。だから政府がこの状況を見て「これなら消費減税しないでいいね」となったら「それはおかしいでしょ」と言いたいですね。ミスリードはしてほしくない。
アメリカの運用の世界では当たり前
――文字通り、政府発表の代替(オルタナティブ)になり得るわけですね。
森永:当然、「国のデータって1か月遅いし、要らないよね」という声も出てきます。投資関係者からすると今まで発表に1か月待ってたものが、オルタナティブデータのほうが鮮度があるとなれば、当然こちらのほうが読まれますよね。
最初は信用できないでしょうから、後で国の統計も合わせてチェックしつつ、これを繰り返して、ほぼ100%当たるとわかれば、国の発表を待つより、先行するこいつの記事だけ読めばいいとなる。
これがアメリカの運用の世界では当たり前になってます。結局投資はいかに安い時に仕込むかなので、誰が先に気づけるかの勝負なんですよ。これから伸びる分野を早く気づいて安く仕込むのはセンスだけじゃなくて、データも必要なんですよね。根拠となるデータがないと買えないから。だから今、オルタナティブデータはめちゃくちゃ注目を浴びてます。