2度のリストラを経て起業、東大卒の女性代表に聞く「料理人のサブスク」という内食の形
小さい積み重ねからサービスを育てた創業期
事業のアイディアこそ良かったものの、お互いが起業自体初めてであり、どう軌道に乗せていくのかは手探り状態だったという。自分たちの想いを伝え、サービスを理解してくれるエンジニアの採用や資金調達に奔走し、シェアダインを正式リリースするまでには、会社登記から1年後の2018年5月だった。
「お互いが子育てをしながらサービスを創っていく形だったので、仕事の割り振りや時間配分を意識しながら立ち上げを行いましたね。特に苦労した点は、食事を作る料理の専門家がなかなか見つからなかったこと。
リリース時は、ある程度の腕利きな食の専門家を50名集めようとしましたが、当時は知名度も信頼もなく、栄養士やシェフのブログや連絡先に問い合わせをするも、返事をもらえないことが多かった。それでも、なんとか紹介や口コミから協力してくれる人を探し、少人数でテスト的に実施してみたりと、最初は小さく始めていきました」
船出は厳しい状況だったものの、ビジネスアイディアとしては優れており、東京都のスタートアップ支援プログラムに採択されたり、大手ビジネスメディアに取り上げられたりするようになる。これらが功を奏し、次第にサービスが軌道に乗り始めた。
家庭の食の悩みに合わせて献立づくり
「注力したのはPR活動ですね。ビジネス系のメディアだけでなく、サービスを使う消費者が多く見る生活雑誌や民放のテレビに取り上げられるよう工夫し、サービスの認知度を上げるよう努めました。
広告はほとんど打っていないので、SNSでの口コミだけで、サービスの評判が広がった。創業者の私も、飯田も子育て中の原体験をもとにサービスを立ち上げているので、ユーザー層の7割が未就学児の家庭に使ってもらっている状況です」
シェアダインの特長は、家庭の食の悩みに合わせてプロの視点で献立や食事を作れるのが魅力だという。家族みんなで楽しめる作り置き料理や、子供の偏食に合わせたメニュー作りなど、子育て中の家庭にとっては付加価値の高いサービスとなっている。
「普段あまり自炊をしない男性にぜひ使ってほしい」と話す井出氏は「まず、月2回1万3600円からのプランで、何人かの料理人にお願いするのが上手な使い方」と説明する。