新型コロナで大打撃の日本航空。航空業界にチャンスはあるのか?
業績:新型コロナ関連の対応以前から苦戦?
そして、経営再建から8年が経過したJALの現在の姿を業績情報から確認していきましょう。
直近の2020年3月期第3四半期の業績においては、「国内旅客事業は堅調だが、国際旅客事業・貨物郵便事業が伸び悩んだ」結果、営業収益予想を300億円下方修正し、当期純利益予想を210億円下方修正しています。
なお、JALの場合、第3四半期は「2019年12月31日」までの業績を示しているため、この収益下方修正は、新型コロナウイルス肺炎による減便とは全く無関係です(新型コロナウイルス肺炎についての日本政府の対応1月ごろから始まっています )。
したがって、業績についてはコロナウイルスの件に結び付けずに考える必要があります。
営業収益予想の下方修正の内訳
なお、JALが説明している営業収益予想の下方修正の内訳・要因は下記の通りです。
国際旅客収入…110億円減
① 日本発業務需要の鈍化
② 2019年10月の台風による欠航
③ 中国線・欧州線の需給バランスの悪化
国内旅客収入…30億円減
① 2019年10月の台風による欠航
貨物郵便収入…50億円減
① 国際貨物・郵便を中心に需要の伸び悩み
その他収入…110億円減
① 受託ハンドリングの減少(特に地方空港での韓国キャリアのハンドリング)
② 整備受託収入の減少
率直に言うと要因を外部に求めすぎており、ここから改善する見通しを立てにくいように思いました。というのも、今後伸びていく余地がある会社の場合、直近の数字が思わしくなくても、決算説明資料などで今後の対策・見通しの説明が明確にまとめられており、「きっと改善できそう」と理解しやすい資料の構造になっているからです。
なお、競合のANAについては同時期(2020年3月期第3四半期。区切り方はJALと同じ)の売上高は前期と比べてわずかながらも増収となっており 、同じ外部要因にさらされているにもかかわらず、結果に差が出ています。