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大英博物館「マンガ展」はこうして実現した。性的表現も議論に

 8月26日まで開催された大英博物館のマンガ展。日本からもたくさんのファンが押し寄せたという。海外で、しかも国を代表する博物館での大規模なマンガ展示は、ほかにはなかなか例がないだろう。

大英博物館

大英博物館外観(撮影/和久井香菜子)

 このような企画が実現するまで、どのような経緯があったのか、大英博物館プロジェクトキュレーターの内田ひろみさんに話を伺った。

アンケートでマンガが一番人気だった

大英博物館

大英博物館会場風景 ©The Trustees of the British Museum

――大英博物館のマンガ展が、日本でも話題です。

内田ひろみ(以下、内田):いま展示しているギャラリーは、大英博物館の中で一番大きい特別展示室なんです。もともとはもうちょっと小さいところでやる予定でしたが、1年半ぐらい前に「大英博物館で今後企画するとしたら、どのような展示が一番観たいか」というアンケートを取ったんです。

 マンガ、ストーンヘンジ、トロイ、エジプトのものといった企画だったと思います。そのうち、マンガが一番人気でした。これはすごい、もっと大きいところにしようって急遽会場が変更になったんですね。

 でもマンガ原稿って小さいじゃないですか。原稿用紙でたくさん並べても短調になってしまうし、特に今のギャラリーは天井の高さが6メートルくらいあったので、縦の空間も埋めなきゃいけないという課題もありました。

――作品はどうやって決めていったんですか?

内田:コンセプトを立てて、ジャンルを決めて、そこにどの先生のどの作品、どの場面を入れたいかを考えるのはもっとも大きな仕事でした。その部分では「メディア芸術コンソーシアムJV事務局」に大変お世話になりました。

 年に何回かアニメ・マンガビジネスに関わる人が集まって、勉強会をするんです。大英博物館のマンガ展企画立案者であるニコル・クーリッジ・ルマニエールさんに4回ほどそこに参加してもらい、マンガ展について発表して意見をもらいました。

 日本のマンガ専門家にしてみれば、全然マンガを知らなそうな外国人が「マンガ展を開催するなんて」と、結構シビアな目で見ていたと思うんですよ。ただ、ニコルさんが企画の説明をすると、みなさん親身になっていろいろアドバイスをくださいました。

グループごとにマンガを見せて調査

マンガ

Noda Satoru, Golden Kamuy, 2014 onwards ©Satoru Noda / SHUEISHA

――ほかにもなにか調査をしたのですか?

内田:マンガ展開催が決まったときに、グループ調査をしました。いくつかのグループに分けて集合してもらいました。大英博物館の会員、大英博物館ではないけどほかの美術館の会員で美術が好きな人や展覧会に行く人、博物館にはあまり行かないけど日本に興味がある、もしくは若くてマンガを知ってる人といったグループです。

 それぞれ10人ぐらいずつ参加していましたね。そこでマンガを見せて「どう思う?」「どういうもの見たい?」「これ何だと思う?」などと聞いていきました。私が参加したのは「ミュージアムにはよく行くけど、マンガはそれほど詳しいわけではない」という人の回です。