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日ハム吉田輝星、危険球退場で一軍遠のく。“甲子園の主役”の重圧

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再び一軍のマウンドを目指して

 高卒ルーキーがプロ野球の世界でいきなり活躍するのが困難であることは言うまでもない。身体も成長途中であり、技術も身につけなければならないことのほうが多いだろう。さらに、経験したことのない程のファンからの注目もプレッシャーとなる中で、初年度から結果を残せる選手は歴史を振り返ってもごくわずかだ。

 吉田が歩み始めた道も容易いものではなく、誰よりも期待を背負う存在ならばなおさらだ。また、時として結果だけでは周囲を満足させることができないことさえあるのがプロフェッショナルである。

 手さぐりが続く中、迎えた8月7日の「1軍再昇格テスト」となった西武戦。初回、2アウトを取った後、3人目の打者に対して投げた直球がすっぽ抜け、ボールがヘルメットに当たると、アンパイアから危険球、退場が宣告された。

甲子園を沸かせた“主役”の重圧

甲子園

 吉田は帽子を取り、額の汗をぬぐった後、静かにマウンドを降りた。試合後のコメントでは「指に引っ掛け切れなかった感じ。(打者の)山野辺さんが何ともなかったので良かった」と相手を気遣うとともに、状況を振り返った。この日の結果では首脳陣も、再昇格への評価に至ることはなく、もうしばらく二軍のマウンドに登ることは確実と言えそうだ。

 甲子園を大いに沸かせた「主役」として、ドラフト1位ルーキーとして、そして背番号18とともに人々の期待を背負うプレーヤーとして、吉田が感じる重圧は決して軽くはない。

 ただ、その右腕から投げ込まれるストレートは大いなる可能性を秘めている。放たれると力強い軌道を描き、球速以上の迫力が溢れ、ファンを惹きつけるには充分なまでのストレート。自身のもっとも得意とする武器にさらなる磨きをかけ、必ずや札幌ドームのマウンドに帰ってくるだろう。そう遠くはないであろう、その日を心待ちにしたい。

<TEXT/佐藤文孝>

新潟県在住。Jリーグ、プロ野球、大相撲やサッカーW杯、オリンピックなど多くのスポーツの現場に足を運び、選手、競技から伝えられる感動を文章に綴っている

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