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会社が副業禁止なのに、副業してバレたら…懲戒処分されるか?

コラム

 昨年から、毎日のように「働き方改革」という言葉を目にします。少子高齢化による労働人口の減少などを解決するために、国が全面的に後押ししている働き方改革ですが、その中でも特にみなさんが注目しているのが「副業解禁」でしょう。

副業

※画像はイメージです(以下同じ)

 大会社でさえリストラが普通に行われるようになり、年金制度も先細りし、それでいて平均寿命は伸び続けて人生100年時代を迎える今、会社の給料と年金だけに頼っていては、老後資金が不足することは不可避です。

 そこで、副業にチャレンジすることで少しでも収入を増やしたいところですが、会社勤めの社員は副業ができるのでしょうか?

一律の副業禁止は「法的に無効」

 そもそも、労働基準法などの法律では、別に会社員の副業は禁止されていません(※ただし、2019年7月現在、公務員の副業については国家公務員法と地方公務員法で制限)。

 そのため、就業規則で副業が禁止されていない限り、本来副業は自由なはずです。とはいえ、多くの会社では就業規則で副業を一律に禁止していて、その違反を懲戒事由としています。本業に集中して、余計なことはするなということですね。では、こっそり副業をしてそれが会社にバレたら、懲戒処分をされてしまうのでしょうか。

 実は、会社が副業を一律に禁止することは法的に無効です。裁判所は、働き方改革という言葉が生まれるずっと以前から、副業を禁止する合理的な理由がないのに一律に禁止することは無効であるという判断を示していました。

 社員が勤務時間以外のプライベートの時間をどう使うかは基本的に社員の自由であり、会社は原則としてそこに干渉することはできない、ということです。つまり、時代の流れもさることながら、社員はいつまでも法的に無効な“副業禁止”に縛られる必要はないのです。

 もっとも裁判所の判断は、あくまでも副業を「一律に」禁止することが法的に無効というだけです。副業を禁止する合理的な理由があれば、その範囲での禁止は法的に有効だと判断しています。具体的には、以下のようなケースでは副業禁止が有効だとされています。

「夜の仕事」を理由に解雇するのはアリ?

キャバレー

 まずは、副業が本業の業務に支障があるケースです。

 例えば、勤務時間外に連日深夜まで長時間、キャバレーで仕事をしていたことを理由に懲戒解雇された事例について、連日の長時間労働によって会社での労務に支障が生じる確実性が高いものだとの理由から、裁判所は懲戒解雇が有効と判断しました(1982年)。

 他には、競業により会社の利益を害するケースや、会社秘密が漏洩するケースです。

 例えば、商品部長の社員が、会社と同業の小売店を経営して、会社の取引先から商品を仕入れていたことなどを理由に懲戒解雇された事例や、管理職の社員が、競業他社の取締役に就任したことを理由に懲戒解雇された事例でも、裁判所は懲戒解雇が有効だと判断しました(1990年)。

 このように、副業による懲戒処分が認められる裁判例もあるので、会社員が副業を行う際には、就業規則をよく確認し、禁止されている副業内容に抵触しないものを選びましょう。

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