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奨学金を滞納すると、本当に「返済地獄」なのか?知っておきたい救済措置

コラム

奨学金地獄から脱出する方法

奨学金

図版作成/地主南雲デザイン事務所 ※『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)より

 2016年に発表された中央労福協のアンケートを見ると、こういった具体的な制度の内容を知らなかったという人が多数を占めています。奨学金を借りたとき、もちろん説明書にはいろいろ細かい説明が書いてあったはずですが、20歳前後の学生がきちんと制度を理解するには、なかなか難しい部分もあるのは確かです。

 ですが、リスクをきちんと理解せずに借りてしまい、延滞や他にも借金をしてしまって「破産」へ向かったのでは、その後の人生がかなり変わってしまいます。少しでも支払いが苦しいと思ったら、まずは毎月の返済の減額や返還を先延ばしにする申請をしてみましょう。

 最初に決めた額は難しいけれど、少しでも額が減らせれば返済できる人は「減額返還」、今は返還ができないので、一定期間返還を待ってほしい人は「返還期限猶予」の申請をすることができます。他の金融機関に借金をしてまで奨学金の返還に回そうとしたり、破産してもいいやと思ってしまう前に、絶対申請してほしい制度です。

 ただ、どちらも支払う金額が減るわけではなく、あくまで返還を先延ばしにするものです。条件もあり、返済が50歳近くまで続くことになるかもしれないので、奨学金の返済を抱える期間が長くなることを覚悟しなければなりません。

奨学金制度が未婚率&少子化を促進!?

ミレニアル世代

横川楓『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)

 実際に、ここ10年で経済的貧窮を理由に返還期限の猶予の申請をしている人は、2倍近くに増えています。そういった経済的に苦しい状況である人が増えているにもかかわらず、奨学金の返済も続くとなると、将来への不安を持つ人が増えているのも当然でしょう。

 アンケートでも、奨学金の返済が結婚や出産に影響しているという声が多く寄せられています。奨学金の返済があるため、生活に余裕がなく、結婚ができないと思っている人や、経済的に余裕がないまま子供を産んで、子供にもまた奨学金を使わせてしまうかもしれないのが不安という人もいるはずです。

 奨学金という存在が、未婚率の増加や少子化にも少なからず影響していることは間違いないでしょう。しかし、経済的に厳しい状態の中、進学を選ぶのであれば、やはり奨学金の力を借りるしかないのが私たちの現状です。

 今、どうしても返済で苦しいのであれば、やはり毎月の返済額の減額や返還を先延ばしにする手続きをするか、無理なく返済していけるように、使えるお金を増やしていくしかありません。収入に余裕が出れば、奨学金の繰り上げ返済をすることもできます。繰り上げ返済をすれば、将来払い続ける際の利息も節約でき、もちろん返済期間も短くなります。

 これからの自分、そして、自分の子供に無理をさせないためにも、プラスアルファの収入を増やしたり、環境を変えて収入を増やしていく方法や、海外のように子供自身にもお金を増やさせるといったことを考えていかなければなりません。

<TEXT/横川楓 構成/bizSPA!編集部>

1990年、東京生まれ。明治大学法学部卒業後、同大学院へ進学、経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)等を取得。現在は唯一のミレニアル世代のお金の専門家/経済評論家として、お金の知識の啓蒙活動を行う。Twitter(@yokokawakaede)、Instagram(@cae0813)も更新中

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