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柄本佑が語る、親父と弟との舞台稽古「2世俳優」であることの実感

暮らし

妻・安藤サクラと「キネ旬」表紙撮影の裏話

柄本佑

――毎日映画コンクールとキネマ旬報ベスト・テンでは安藤サクラさんとの夫婦での受賞が話題を集めました。キネマ旬報のおふたりの表紙もとてもステキでした。

佑:ありがとうございます。恥ずかしいです。

――撮影のときには、明さんが近くにいらしたんですよね?

佑:親父がうちの娘の様子を見てくれていました。遠くから見て、ケラケラ笑ってるんですよ。「残酷だな、可哀そうな2人だ」みたいな顔して笑ってました(苦笑)。ただ、受賞の際には「おめでとう」と、電話がかかってきました。「サクラも一緒らしいな」って。

――時生さんからは。

佑:あいつからは何も言われてないです(笑)。

「佑は生真面目だよね」とよく言われる

柄本家のゴドー

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――時生さんは、よくお兄ちゃんのことを大好きだと発言されています。

佑:言ってますね。あれは僕の教育の賜物ですね。お兄ちゃんには勝てないんだぞという権力を示して、腕力で押さえつけてきたので、ちゃんと身を結んでいるなと(笑)。

 ただ、僕は「舞台としてちゃんとしたものを作らないといけない」と思ってやるんですが、時生は自然体のままで、たまに見ると「このやろー、俺は頑張ってるのに!」と思います。僕らは兄と弟の違いがはっきり出ていると思っていて、「TE×2」を始めたときにも、親父に「時生とやると損するよ」と言われたんです。

――どういうことですか?

佑:「あれはただの石だから。転がっている石が舞台上にあって、お前は1人だから、何かやらないといけないハメになる。だけど、この石をただ見ていればいいという状態になれたらいいよな」と。ただ、その言葉も後ろ向きの意味合いではありませんでした。

――今はまだ「俺は頑張ってるのに」と思ってしまうと。

佑:思っちゃいますね。時生に「俺は頑張ってるんだぞ」と言っても、「いやー、兄ちゃんやっぱすげーって思いながらやってるよ」とか言われて、またイライラする(苦笑)。しかも、舞台の感想を聞いても「時生、いいよね~。佑は生真面目だよな」とか言われちゃう。

トータルで作るということが楽しい

柄本佑

――本編でも最初にカメラに気づいたときの反応から、ふたりは全然違いますよね。

佑:僕は生真面目でしょ。カメラが入っていることに浮かれちゃいかんと。でも時生は素直に浮かれる。僕だってそうしたいけど、「お兄ちゃんとして、しっかりしないと」と思ってしまう。戯曲を探すのも、打ち合わせをしようと言い出すのも、お金の算段をするのも全部僕なので。

 僕も出ているけれど、プロデューサーとして、時生にオファーしているという感覚もあります。なんというか、トータルで作るということが楽しいんです。だから、結局はこれからも2人で長くやっていきたいですね。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異
Twitter:@mochi_fumi

ゴドーを待ちながら』は5月11日より下北沢トリウッドほか全国順次公開

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