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柄本佑が語る、親父と弟との舞台稽古「2世俳優」であることの実感

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“大先輩”の親父の稽古場は楽しい

柄本佑

――公演から2年経ち、今度は劇場でドキュメンタリーとして公開です。改めて観てどう感じましたか?

佑:ヒリヒリした皮膚感覚が蘇りましたね。画面の中の僕が、すげー緊張してて、それがバンバン伝わってくる(苦笑)。思い出しちゃって、ピリつきます。

――最初のほうで明さんは笑っていますが、途中からどんどん怖い演出家の顔になります。

佑:ええ、怖いですよね。命すり減らすみたいな感じで……だけど、とっても楽しいんです。純粋にモノづくりの楽しさを感じるというか、当たり前のことですが、親父は明らかに経験している場数が僕らとは違う。

 だから、ものすごくいろんなことを知っていて、大先輩だから「これこれをこういう風にやってみな」と言われてやってみると、発見があるんです。そうした発見の面白さを味わわせてもらいましたね。

――明さんは「具体」という言葉を口にされ、さらに「台本にすべて書かれているんだから、それをただ言えばいいんだ」とおっしゃいますが、こちらとしては理解が難しいです。

佑:僕も分からないですよ。それも積み重ねていくしかないのか分かりませんが、でも分からないことをたくさん言われるので、何かを考えるきっかけに繋がります。「具体的に言うとは、どういうことなんだろう」とか考えるきっかけをいただいている感じです。

「2世だから」の声を気にしたことない

ユーロスペースで行われたトークショーより(左から)山崎裕監督、柄本佑さん、時生さん

――佑さんはもともと映画監督に興味があったんですよね。そこから主演映画『美しい夏キリシマ』でデビューしましたが、俳優でやっていこうと決められたのはいつ頃ですか?

佑:うーん。僕はいまだに初めて映画に出たときのままというか、「映画監督になりたい」という夢も持ったままに生きています。ただ、初めて映画をやってから2年間は何もやらず、普通に学生生活を送っていましたが、現場の感覚が忘れられなくて。あの現場にまた関わりたくて、「自分に何ができるのだろうか」と考えた結果が、俳優だったという。

――「2世だから」「芸能一家だから」と言われることも多かったと思うのですが、そのことで悩んだことはありますか?

佑:僕は基本的にあまり他人に興味があるほうではないので、周りからはそう言われていたのかもしれませんが、全然知らずに生きてきました(笑)。事務所も親父の紹介があったのは事実ですが、当時は自分が事務所という組織の中にいるんだという自覚もなかったんです。

僕だけ両親や弟と違う事務所に入った理由

――事務所といえば、佑さんだけ、ご両親と時生さんとは違う事務所ですよね。

佑:そこは親父や母ちゃんの特性で、1人目の子供のときはいろいろ心配するという。たとえば、小学校4年生のときに、週に2日ほど部活動を始めたんですが、野球かバスケから選ぶことになり、「俺は野球がいい」と言っていたのですが、「野球は、両親が土日に動くことが多い、私たちの仕事では無理だから、バスケにしてくれ」と言われてバスケにしたんです。でも、時生は普通に野球部に入ってました。

――ありそうな話ですね(苦笑)。

佑:事務所に関しても、親父が「佑の仕事のことで、俺の意見が入っちゃうかもしれないから、別の事務所のほうがいい」と言って探したようなんです。だけど、いざ始めてみたら、そこまで興味が沸かなかったのか、別に口も出さないし、「それなら、時生は別に同じ事務所でいいんじゃないか?」という感じですね。

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