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ネットで270万円調達して猫本屋を作ったサラリーマンの、したたかな開業戦略

学び

「本×〇〇」の掛け算

――「減少していく一方の本屋と、里親が見つからない保護猫がお互いに助け合う」という「Cat’s Meow Books」のコンセプトは斬新ですが、具体的にコンセプトが固まってきたときに「これは世間に受け入れられそうだ」という感触はありましたか?

安村:内沼晋太郎さん(下北沢の「本屋B&B」の共同経営者でブック・コーディネーター)の本屋講座に出たときに自分のプランを話したら、「それはいけると思う」と言ってくれたんですよ。

 猫好きなわけでもない業界の大御所がそう言ってくれたことで、本当にいけるかもしれないと思いましたね。

――本が好き、猫が好き、ビールが好きで、その3つに囲まれて暮らしたいというのがスタート地点でにあって、そこからどんどんコンセプトを固めていったんですよね?

安村:本屋をやりたいけれど、単に本を売るだけでは採算をとるのが厳しいので「本×〇〇」の掛け算をしなくちゃいけないと思い、その掛け算のところはいろんなことを考えてたんですよ。

 お客さんがお金を落としていきやすい仕組みやコンセプトはなんだろうとずっと考えてて、いろいろ取捨選択する中で猫が残ったんです。

もやもやとしたコンセプトを固めるには言語化

猫本屋

コンセプトは「本と猫とビール」だが…

――最初から本×猫×ビールとハッキリ決まっていたわけではないんですね。

安村:通りがいいので、「本と猫とビールが好きで、その3つを合わせて……」とどこでも説明してるんですけど、多分に後付けで。

 それこそクラウドファンディングのための文章を書いているときに、「なぜこの本屋を始めるのか?」ということを他人に納得してもらえるよう言語化することで、自分の中でも具体的になっていったんです。最初はそこまで明確なものはなく、もやもやしてたんですよ。

――言語化して人にわかってもらおうとすることは重要ですね。

安村:ええ。たとえば就活の面接でも、「この会社で何をしたいか」ということを面接官に納得してもらうにはよっぽど論理だったこと言わなきゃいけなくて。

 そのためにはあらかじめ文章を書くなりして言語化するのがやっぱり一番ですよね。これはいくつになっても、仕事じゃなくても好きな人を口説くにしても役に立ちますから(笑)。

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