bizSPA!

中国の春の祝日「清明節」とは?先祖供養でお金を燃やす風習の意味

スキル
中国の春の祝日「清明節」とは?先祖供養でお金を燃やす風習の意味

日本の墓参りといえば、夏のお盆ですよね。「お盆休み」と言われるくらい正月やゴールデンウィーク並の長期休みに入る職場も多いのではないでしょうか。一方、お隣・中国の墓参りの季節は春。毎年4月4日前後に設定される清明節の連休では、先祖を供養する中国ならではの風習が各地で見られます。この記事では、清明節について筆者の体験を交えながら解説します。


二十四節気のひとつである「清明」に由来

清明節は中国の伝統的な祝日で、春の訪れとともに先祖を敬う日とされています。2025年の清明節は4月4〜6日までとなっており、中国は三連休。多くの国民が、墓参りを始め、登山やハイキングなどに出かけて過ごします。

中国政府の発表によると、2024年の清明節では1億1,900万人が中国国内を旅行し、2019年の同時期と比べて11.5%増加したとのこと。また、国内観光客の旅行支出は539.5億元で、2019年の同時期と比べて12.7%増加したそうです。

ちなみに、清明節は二十四節気のひとつである「清明」に由来しています。二十四節気とは太陽の動きを基準に一年を24等分したもので、約15日ごとの季節の変化を示します。春夏秋冬の各季節がさらに6つに分けられ、農作業や生活の目安として古くから活用されてきました。

清明は二十四節気の中で春分に続く5番目の節気で、太陽が黄経15度に達する時点を指し、春分と穀雨の間に位置します。

供養するための紙幣「冥幣」とは

清明節は先祖を供養する祝日とされていますが、墓参りに行く頻度や時期、供養の習慣などは地域差があるようです。その中でも、広く認知されている風習のひとつが紙幣を燃やすことではないでしょうか。

中国ではこの時期に家族が墓地に行って掃除をし、故人を偲びながら、紙でできたお金や日用品の模型などを燃やすことで、あの世の先祖に届けるという風習があります

「冥幣」を燃やす様子
「冥幣」を燃やす様子 ©️PIXTA

筆者が滞在していた広東省の深圳でも、清明節の時期にお金を燃やしている様子を目の当たりにしたことがあります。比較的新しいマンションが立ち並んでいたエリアでしたが、ローカルな飲食店や昔ながらの住宅が隣接している場所でもありました。

清明節の夜、自宅からほど近い小さな公園沿いの道路を歩いていると、しゃがみながら何かを燃やしている人の姿が目に留まりました。そばを通り過ぎるときに、紙幣が燃えているのを見て「ああ、これが清明節の風習か」と思いました。筆者の記憶では一元札が燃えていた気がするのですが、「冥幣」と呼ばれる擬似的な紙幣を燃やすのが主流のようです。

翌日、自宅の近所の歩道を通ると、ほかの場所でも何かを燃やした跡が確認できました。

地方から移住する人が多い深圳ですが、広東人として先祖代々深圳に住む筆者の友人は、清明節になると山に登るそうです。その理由は「高いところに行くとご先祖様と近くなるから」だそう。

死者の魂が天に昇っていくイメージは、日本よりも中国のほうが強いのかもしれません。

[参考]
国务院办公厅关于2025年部分节假日安排的通知_2024年第33号国务院公报中国政府网
2024年清明节假期文化和旅游市场情况部门动态中国政府网

1987年奄美大島生まれ。Webメディアを中心に、書籍の著者インタビューや生成AIの活用法、中国に関するコラムなどを執筆。在外教育施設(日本人学校)の教員として、2014年からタイ・バンコクに3年、中国・深圳に5年間滞在。帰国後にライターとして活動を始める。2024年から、日本国内の小学校で講師として勤務しながら執筆を続けている。

人気タグ

おすすめ記事