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浮気の慰謝料は数十万〜300万円!調査や費用も解説【弁護士に聞く男女問題】

浮気の慰謝料は数十万〜300万円!調査や費用も解説【弁護士に聞く男女問題】

浮気や不倫、DVなど、男女間の問題は、どんなに小さなきっかけでも深刻な事態を招くことがあります。特に法律的な側面で悩んでいる方にとって、どのような対処が適切なのか、また、トラブルが大きくなる前にどのように防ぐべきかという疑問が絶えません。本連載では、経験豊富な弁護士に、浮気や不倫にまつわる法律の基本や実際のケースに基づいたアドバイスを聞き、問題解決に向けたヒントをお伝えします。

今回は、「交際相手が浮気をしていたケース」について、アディーレ法律事務所の池田貴之弁護士に解説していただきました。

「婚約」していれば慰謝料請求できる

Q1. 交際相手が浮気をしている疑いがあります。結婚していないのですが、慰謝料を請求することはできますか? できる場合は慰謝料の相場を教えてください

浮気相手に対する慰謝料請求は原則困難です。なぜなら、婚姻関係にあるという法的な夫婦関係を保護する意味で不貞の慰謝料請求権が成立するので、結婚前となるとその状態がないということになってしまうからです。

他方で、当該交際相手に対する請求という観点で考えると、結婚していなくても、「婚約」状態があれば、婚約破棄に伴う慰謝料請求という形で慰謝料請求できる可能性はあります。その場合の相場はあまり定まっていませんが、数十万円~100万円程度が多いかと思います。

Q2. 「婚約」状態とは、どのような状態のことをいいますか? 何をすれば「婚約」が成立しますか?

「婚約」とはその名のとおり、結婚の約束をしていることを指しています。わかりやすいのはプロポーズして承諾している状態や、婚姻届を提出する日を具体的に約束している状態を指しています。

もっとも、「婚約」の証明をする方法としては、外部的に表れた行動が必要となります。具体的には例えば、それぞれのご両親への結婚のあいさつや、友人に婚約者として紹介している、結婚式の式場の予約をしているといったことです。

浮気相手と性行為があれば慰謝料は数十万〜300万円

Q3. 手をつないだだけ、2人きりで食事だけ、ホテルまで行ったなど、浮気相手との間で行われた行為によって慰謝料の金額は変わりますか?

不貞の慰謝料請求権が成立するという前提で考えると、行為内容によって金額(損害額)の算定は変わることになるかと思います。

まず厳密に言えば、「不貞行為」と言っても(1)性行為、(2)性交類似行為、(3)親密交際、という形で行為内容によって不法行為の程度(つまりは損害の程度)も大きく分かれます。特に(2)(3)の場合には、一般的に数十万円程度(50万円いかないくらい)しか認められないことが多いですが、(1)であれば数十万円から300万円程度まで認められる可能性があります。

具体的な態様については、(1)は、わかりやすく性交渉があったかどうか。(2)は性交渉自体はないが、その手前の類似するような行為(口腔性交など)があったかどうか。(3)は、キスやハグなどがあったかどうか。以上が大きな枠組みですが、具体的な事案次第で認定が変わることは、ままあります。

ラブホテルに入る写真のほか自白の録音も証拠となる

Q4. 交際相手の入浴中に、スマホのLINEの履歴や浮気相手と写っている写真を自分のスマホで撮影しましたが、証拠になりますか?

具体的なLINEのやり取りの内容次第ではありますが、性行為がわかるようなやり取りや、浮気相手とホテルの部屋で裸で写っている写真などであれば、証拠として使えるものになるかと思います。

また、入浴中に勝手に撮影しているため、議論としては違法に収集したことにより証拠能力がなくなる可能性もあり得ます。しかし、基本的に実務上は勝手にスマホの中身の写真を撮った程度で証拠能力がなくなるという判断になることは考えにくいです。

Q5. ほかに証拠となるものはありますか?

まずわかりやすいのは探偵の調査報告書などで、ラブホテルに出入りしているところの写真があれば強い証拠として使用できます。

また、不貞した配偶者(交際相手)とまず話し合う場合が多いかと思いますが、その配偶者の自白を書面か録音で残しておくことで、証拠とすることも可能です。

それ以外では、2人で泊まったことがわかるようなホテルの領収書や、2人で旅行に行ったことがわかるような乗り物やホテルの領収書や履歴、弱いですがクレジットカードの使用履歴など、加えてSNS上での投稿内容や、GPS履歴なども証拠として提出されることはあります。

浮気相手が慰謝料を支払わない場合は給与などの差し押さえも

Q6. 慰謝料を請求する場合に必要な手続きは何ですか?

弁護士に依頼した後の流れとして、まず相手方の住所や連絡先を特定(確定)するために、職権による調査をします。これは相手方の住民票を職務上請求という形で取得したりするものです。

その後は、相手方との交渉に入りますが、書面や電話での交渉になるので、それ以降は相手方の出方次第で柔軟に対応することが求められます。

さらに、交渉という話し合いでまとまらなければ訴訟手続きに進みます。その中では、Q5で上げたような証拠によって立証して、裁判官に認定してもらうため、証拠の提出及び主張書面の提出、期日での対応が必要となってきます。

また、慰謝料請求の場合、合意した後でも相手方が素直に払ってこないということもままあるため、その場合には督促や、場合によっては強制執行手続きをして給与などの差し押さえまで必要となる場合もあります。

Q7. 弁護士に慰謝料請求の依頼をした場合の費用はいくらくらいかかりますか?

弁護士事務所によっては、相談してみないとわからない場合もありますが、一般的には着手金として20~30万円前後、成功報酬として合意した慰謝料額の15~20%、その他手数料で数万円という設定になっていることが多いかと思います。

なお、不貞の慰謝料請求などで請求する側となると、相談でお話をお伺いした時点で相手から回収できることが前提となるため、回収できた金額から弁護士費用を差し引くという完全成功報酬制となっている事務所も多いです。

[協力]
アディーレ法律事務所

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