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日本とこんなに違う!世界のエグゼクティブの「休み方」とは?

学び
『世界の一流は「休日」に何をしているのか』
 越川慎司著 クロスメディア・パブリッシング
『世界の一流は「休日」に何をしているのか』 越川慎司著 クロスメディア・パブリッシング 1,738円(税込)

ライフワークとしてブックレビューを長年執筆する経済ジャーナリストが、話題の本を紹介。今回は、 多くの企業で働き方改革を支援している越川慎司氏の著書『世界の一流は「休日」に何をしているのか』 (クロスメディア・パブリッシング)です。

日本と世界の「休み」のとらえ方の違い

休みの時間をどのように過ごせば充実した生き方ができるか。自分以外の人がどんな休日の過ごし方をしているのか、といった点は多かれ少なかれ気になるところである。本書は世界の一流ビジネスパーソンがどんな休み方をしているのかを解説した。

読み進めていくにつれ、休みのとらえ方が日本と世界では根本的に異なることがわかる。日本のビジネスパーソンの多くは、平日の仕事の疲れをとるために休む、つまり疲労回復目的が中心だが、世界のビジネスパーソンは自分の生活や精神を豊かにするために休んでいる点で大きな差がある。

そこにはスポーツや趣味の時間を楽しむほか、家族や友人との時間を大切にするという発想がある。仕事と私生活の双方で満足度を高め、自分の可能性を肯定的にとらえる心理状態(自己効力感)を高めるために休んでいると著者は指摘する。日本的な休み方の発想にとらわれていると、なかなか気づきにくい視点である。

このほか欧米企業では長期間の休みを取得することが多いが、そのポイントとして、仕事の優先順位をみきわめて重要な仕事を休暇前にしっかり終わらせることや、チームメンバーとの情報共有を徹底してスムーズな引き継ぎを可能にしていること、仕事の個人依存を作らないように普段から仕事の標準化に努めている点などをあげる。

世界のエリートは土曜日と日曜日を戦略的に使い分ける

では、世界のエグゼクティブは休みの時間を使って何をしているのか。著者は芸術鑑賞や読書を行っていることに加え、現在の自分の価値観や目標を明確化し、肉体的、精神的なコンディションを注意深く観察して自己管理などにあてていると指摘する。

休み方にも特徴があり、世界のエリートは土曜日と日曜日を戦略的に使い分けているという。日本のビジネスパーソンの多くが土日を「仕事のない2日間の休み」ととらえている一方で、世界の一流は土日を別々の独立した休日と考え、土曜日を「チャレンジする日」、日曜日を「リフレッシュする日」としているという点は印象的だ。

休みの日に時間を有意義に使う大切さ

さらに欧米のビジネスパーソンが、明確な目的意識を持って休養や休息の時間を楽しんでいるという点も参考になる。自分で決めた時間を自分で使うことで時間の有効活用につなげるという行動の重要性とともに、休み方についても自律的に考えて有意義に時間を使うことの大切さを気づかせてくれる。

例えば完全週休二日制を採用している会社なら、年間で100日以上の休日があることになる。この時間を有効に活用すれば10年、20年と年月を重ねる中でかなりのことを達成することができる。若いビジネスパーソンにおすすめしたい一冊である。

世界の一流は「休日」に何をしているのか』 越川慎司著 クロスメディア・パブリッシング 1,738円(税込)

在京の大手メディアで取材記者歴30年。海外駐在も経験。

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