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「こっそり副業」はダメ!勤務先の許可を取らないと不採用の確率が高い理由

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副業許してくださいよ

近年、生活費や将来の不安に備えるため、副業を希望する人が増加しています。また、収入を補うだけでなく、新たなスキルを身につけたり、趣味を活かしたりする場としても注目される一方で、さまざまな課題やリスクも存在しているのが実情です。そこで、副業に関する調査結果をもとにその実態に迫り、副業を検討する人々にとって有益な情報を提供していきます。

今回は、副業する人を採用するにあたって、どのような受け入れの段取りを企業の側が用意しているのかについてまとめてみました。副業・兼業で働く人を採用する際に「本業の勤務先から兼業・副業で働く許可を得ているか」を確認する企業が7割を超えるなど意外な結果が出てきましたので、こっそり副業を始めようと思っている人は、ちょっと立ち止まって最後まで読んでみてくださいね。

「副業許可を得ているか」7割が確認

「副業をしたいなー」と思ったら、ほとんどの人が求人を探して応募し、面接などの採用プロセスに挑んで、採用の通知を待つと思います。

では、いざ採用となったら、どんな段取り、どんなやり取りの後で業務が始まるのでしょうか。

リクルート(本社:東京都)がまとめた「兼業・副業に関する動向調査データ集2022」には、兼業・副業で働く人を社外から受け入れている企業に対して「受け入れ時の規則・ルールの内容」を聞いた項目があります。

その回答を見ると、以下のようになっています。

1位・・・本業の勤務先から兼業・副業で働く許可を得ているかを確認(76.5%)
2位・・・本業と利益相反や競業関係にならないかを確認(61.4%)
3位・・・当労働時間や体調を管理しているかを確認(58.8%)
4位・・・契約内容に違反した場合に備え、懲戒解雇、減給などの罰則規定を設ける(41.4%)
5位・・・誓約書の提出を義務付け(30.9%)

副業を、こっそり始めようとしている人にとって1位の回答は、きっとドキッとする内容ではないでしょうか。

調査によって結果の数字は異なるものの、自分の副業を本業の会社に伝えない人は多いです。

bizSPA!フレッシュでも、2023年(令和5年)にマイナビ転職が行った「正社員の賃金不満と副業など年収アップの意識調査」を紹介した過去記事で、6割の人が内緒にしていると紹介しました。

関連:副業を会社に内緒にする人は約6割!認められていても言わない理由とは?

もちろん事実、こっそりやれている人もいるのでしょうけれど、自分もなんとかなるだろうと副業に応募してみたものの、いざ採用された段階で「副業は、ちゃんと届け出ていますか?」と聞かれる可能性も高いと考えられます。

副業許可を取ったほうが採用につながりやすい!?

どうして企業の側は副業・兼業をする人を受け入れる際に、副業の許可を確認したり、労働時間や体調管理を確認したり、契約違反時の罰則規定や誓約書を用意したりするのでしょうか。

同じく、リクルート(本社:東京都)がまとめた「兼業・副業に関する動向調査データ集2022」には、兼業・副業で働く人を社外から受け入れる企業が感じる課題、および懸念を明らかにした項目もあります。

1位・・・情報漏えいのリスク(59.1%)
2位・・・長時間労働・過重労働による健康リスク(49.1%)
3位・・・競合リスク・利益相反リスク(37.7%)
4位・・・会社の社会的信用を傷つけるリスク(29.1%)
5位・・・突然辞めてしまって人手不足になるリスク(28.0%)

端的に言って、社外から人を受け入れるにあたり、さまざまな点を企業の側は懸念しているとわかります。

きちんと副業の許可を取っていない人は、本業にばれるなどまずい状況に追い込まれたら、採用後に突然辞めてしまうかもしれません。体調管理や労働時間の管理ができていない人は、健康リスクで同じく突然に辞めてしまうかもしれません。

副業・兼業をする人の本業の内容によっては、自社の大切なノウハウが持ち出されてしまうリスクも企業の側に常にあります。

「副業」という「軽い」ポジションだからこそ、契約違反時の罰則規定や誓約書を用意しておかないと、会社の社会的信用を傷つけるようなトラブルを、雇った側の企業の側が起こされてしまうかもしれません。

bizSPA!フレッシュの過去記事では、自社の社員に副業を認めながらも、外部から自社に副業人材を受け入れる企業の少なさを紹介しました。

関連:46%の企業が「副業を認めている」一方で受け入れている企業は何%?

社員を外部に出しはするけれど受け入れはしない企業が存在する背景には、企業の側の警戒心があると考えられます。

その意味で、副業を始めたいと思っている人は、本業の会社に黙って始めるよりも、しっかりと許諾を取った上で、堂々と職探しに入ったほうが、採用の場面でも望む結果につながりやすいといえるかもしれませんね。

こっそり始めて本業にばれるリスクも軽減できるので、一石二鳥ではないでしょうか。

[文/坂本正敬]

[参考]
※ 正社員の賃金不満と副業など年収アップの意識調査 – マイナビ転職
※ 294人に聞いた!副業がバレた相手や理由ランキング【バレて困ったときの対処法も解説】 – Biz Hits
※ 兼業・副業に関する動向調査データ集 2000/2001/2022 – リクルート

〈bizSPA!フレッシュ〉元編集長。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉創刊編集長。執筆者としては、国内外の媒体に日本語と英語で寄稿。翻訳家としては訳書もある。技能五輪国際大会における日本代表選手の通訳を直近では務める。プライベートでは、PTA広報誌の編集長も兼務しており、広報誌の全国大会では受賞経験もあり。

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